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「なあA」




私と悟の婚約が破棄される?

私が弱いから?



「A?」



格下の呪詛師にやられるくらい、弱くて、きっと悟の足枷になるから?



「A!!」



悟の声で我に返る。
顔を上げれば彼が怪訝そうに私を見ていた。




『……ごめん、悟。どうしたの?』


「それはこっちのセリフなんだけど。さっきからずっと上の空だけど本当に大丈夫なの?」


『あぁうん。大丈夫』


縁側に腰掛けていた私は、おもむろに立ち上がって背伸びをした。



『続きやろうよ。悟』


「いや、今日はもうやめとこうぜ。お前なんか疲れてるみたいだしさ」


『大丈夫だって……ちょっ!?』



気を取り直して用具を準備していたら、突然腰に手を回されて後ろに引っ張られる。



「はーい。煩いお客様をお部屋までご案内でーす」



それから脇に担がれた。抵抗をしたくても圧倒的な力の差で不可能だった。


もうどうしようもないので大人しく運ばれると、
悟は実に可笑しそうに笑った。



「大人しくしてりゃいいんだよお前は」



頭を雑に撫でられる。そのおかげでまた髪がぐしゃぐしゃになってしまう。



『……髪、朝整えたんだけど』


「あー?じゃあ後で直してやっから」


『力加減分かんなくて引っこ抜かれそうだからいい』


「舐めとんのか」



悟が私の部屋の襖を開けて躊躇いもなくずかずかと入っていく。いくら相手が私の部屋とはいえ、多少遠慮するとかはないものだろうか。


まだ敷布団を敷く時間ではないので、悟は座布団を折り曲げたのを枕にして、私を畳に寝かせた。




『……眠くないんだけど。あと、もう少ししたらご飯だし』


「ずっと天井見てればいつか寝れるだろ。それとも子守唄でも歌ってほしいか?」


『いらない…』


「そうかよ」



悟は私の額をペシペシ叩いて笑う。
ここはブチギレる所だが、今は違うことを考えていた。




____悟が優しいのは、私が許嫁だから?




五条家当主のように悟も、私といずれ結婚することに対しては良く思っていないのだろうか。


私だって悟と結婚するなんて想像が出来ない。
いやという訳ではなくて、ただ実感が湧かないのだ。元々私たちが決めたことではない。




でも、




『ねえ、悟』



「なんだよ」



『私のこと、どう思ってる?』



「……は?」



なんの脈絡もなく聞いたから、悟は豆鉄砲を喰らった鳩のように間抜けな顔をした。

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怠慢のにぼし(プロフ) - 緑の白猫さん» ご感想ありがとうございます!そう言っていただけて、構成に頭を悩ませた時間も無駄ではなかったのだと嬉しく思います。 (2021年2月23日 22時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ストーリーの構成も上手いし、時間軸の移動の仕方も上手いしで…。堪らなく大好きな一作です! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - 琥珀さん» こちらこそ初めまして(*´ч ` *)こちらは五条悟オチになります。嬉しいお言葉ありがとうございます!本当に励みになります (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 怠慢のにぼしさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怠慢のにぼし | 作成日時:2021年1月19日 20時

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