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きっかけが欲しかった。
悟が、婚約破棄を留めてくれるような言葉を言ってくれさえすれば、希望があると思った。
｢……それはどういう意味で？｣
『……えっと、異性として？』
単刀直入に、私のことが好き？とでも聞いてしまえば良かったのかもしれないが、少し躊躇って回りくどい言い方をしてしまった。
自分で言うのもあれだが、狡いと思う。
そんなことを聞いた私でさえ、悟に対して自分がどう思ってるかなんて考えたことはなかった。
悟は知らないが、歳相応に恋なんてもちろんしたことがない。小学生の時から彼とずっと一緒にいたのだ。
思い返せば何をするにも、何処に行くにも悟と一緒だった。
彼に背負われて運ばれたあの日から。
ふらふらと歩く彼を危なっかしく思いながら、でもたくましい背中に身を任せて揺られたあの日から。
おこがましいとは思うが、もはやそれが普通で、今までがそうであったように。
己の道を真っ直ぐに突き進む彼の背中を追いかけるのが、私であればいいと思ってしまう。
隣じゃなくたっていい、だけど悟がふと振り向いた時にいるのは私だけでいい。
夕食に嫌いな野菜が出ればわざわざ気配まで消して私の皿に移したり、それを咎めると変顔をして仕返しに笑わせてくる彼を。
帰り際に｢じゃあ、また明日な｣と綺麗な瞳に夕陽を散りばめて心做しか寂しげに笑う彼を。
そんな悟を知ってるのは私だけでいい。
この感情が、私の思う通りなのかは分からない。
でも、
それでも彼が私を手放さないでいてくれるならば。
もし、理由も言わずにこれからの選択を全て彼の答えに押し付けてしまうような、自分勝手な質問をする私を許してくれるのなら。
私は_______
悟は
｢別に、何とも思ってねえよ｣
.
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怠慢のにぼし(プロフ) - 緑の白猫さん» ご感想ありがとうございます！そう言っていただけて、構成に頭を悩ませた時間も無駄ではなかったのだと嬉しく思います。 (2021年2月23日 22時) (
レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ストーリーの構成も上手いし、時間軸の移動の仕方も上手いしで…。堪らなく大好きな一作です! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - 琥珀さん» こちらこそ初めまして(*´ч ` *)こちらは五条悟オチになります。嬉しいお言葉ありがとうございます！本当に励みになります (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 怠慢のにぼしさん初めまして、この小説は五条悟オチですか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怠慢のにぼし | 作成日時：2021年1月19日 20時
