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また次の日がやってくる。
生きた心地のしないまま、あっという間に放課後になり、いつも通り悟を迎えに行った。
「A」
車に乗り込んだ直後に、悟が私の名前を呼んだ。
『……何?』
「お前さ、なんかあった?」
私の心を見透かすように見つめられる。
彼の瞳に、酷い顔をしている自分が写った。
『学校で嫌なことがあったの。でももう大丈夫』
悟は暫く私を見て、「そ。」と呟いてからそれ以上干渉せずに窓外へ目を向けた。
家に到着し、悟と一緒に中庭まで歩く。
廊下の角を曲がり、祖父の自室がある廊下を通る時に、あの男性が祖父の自室に入っていくのが見えた
驚いたが、悟に見られないようにすぐに顔を伏せて、決して止まることなく歩き続けた。
中庭に着いて悟が準備をしていても意識はずっと祖父の自室の方へ向いている。
『ねえ、悟。悪いんだけど部屋に忘れ物したからちょっと待ってて』
「あ?サボりか?」
『違うから』
彼の脇腹を突いてから笑って室内に戻る。
渡り廊下を通って悟の死角に入った瞬間に音を立てずに走った。
それから祖父の自室の前で、少し上がった息を整えながら聞き耳を立てる。案の定、また言い争いをしていた。
「____やはり、彼らの意思も尊重するべきではないのか」
「____一槻様。分を弁えてください。これは最終勧告です。もし婚約破棄に前向きに考えてくださらないのであれば、こちらも然るべき措置を取らさせていただきますよ」
「______何をする気だ?」
「____そうですね。とりあえず篠崎家に仕える者を全員殺し、その後は貴方の息子夫婦も殺します」
「____本気で言っているのか」
「____当然です。この際ですから申し上げますが、どれ程力を持とうが成り上がりの家などその気になれば簡単に潰せます」
「_____やはり私は、君らとは反りが合わないな」
「____ええ、これを機に呪術界からご引退なさる事をお勧め致しますよ。ただし、貴方がたは常に我々の手中にいることをお忘れなく」
"くれぐれも牙を剥くな。"と。
少ししか聞いていないが、これ以上は聞いていられなくなり、ふらふらになりながら中庭に戻った。
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怠慢のにぼし(プロフ) - 緑の白猫さん» ご感想ありがとうございます!そう言っていただけて、構成に頭を悩ませた時間も無駄ではなかったのだと嬉しく思います。 (2021年2月23日 22時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ストーリーの構成も上手いし、時間軸の移動の仕方も上手いしで…。堪らなく大好きな一作です! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
怠慢のにぼし(プロフ) - 琥珀さん» こちらこそ初めまして(*´ч ` *)こちらは五条悟オチになります。嬉しいお言葉ありがとうございます!本当に励みになります (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8a1e62ce6d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 怠慢のにぼしさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月20日 10時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怠慢のにぼし | 作成日時:2021年1月19日 20時