FirstGame ページ1
.
「貴方ももう二十歳なんだから中王区へ行きなさい」
『い、嫌です...私はこの町が好きだから....！』
これがお母様にした、最初で最後の反抗。
「もう娘ではないわ！！」という言葉を聞いたところまでは覚えている。
気がつけば通帳と現金と下着を入れた鞄を持ち、家を出ていた。
____私どうすればいいんだろう
年齢は二十と言っても、外に出られたのは何十年ぶり。
何も知らない赤子と同じようなものだ。
横切ろうと思った公園がふと目に留まる。
『...........』
公園に吸い込まれるように入る。
ベンチに腰掛けた私は、まだ少し明るい空の下で無邪気に笑う子供たちを眺めていた。
.
.
どのくらいここにいたのか。
烏の声が響く公園に、もう子供の姿はなかった。
どうしよう
本当に家を出てきてしまった。
もう許してもらえない。
どうしよう
私一人で何ができ___________
「なぁ」
突然上から降ってきた声に、俯いていた顔を上げた。
「お前、帰んねーの？」
『............へ？』
紺色の少し長い髪の青年は私を不思議そうに見つめていた。
「まだ夕方とはいえ、暗いぞ。
この辺は夜あぶねーから家帰った方が....」
『ないんです
......帰るところ』
青年は目を丸くする。
言葉に出すと急に実感が湧いて、少し泣きそうになった。
「えっ、お前も？」
『.....え』
「そーなのか！！！
俺も家ねーんだよ〜！一緒だな！」
『いや、あの』
家がないのって普通なの？
いや、そんなわけない
.....でもこの人、なんともないように笑ってる
青年の反応に驚いたものの、心に「一緒だな」という言葉が染みる。
『........私、お母様に家追い出されてしまって...
どうすればいいのかわからなくて........』
青年は俯いた私にまた言葉をかけてくれた。
「......だったら俺と一緒にいるか？」
今度は私の目が丸くなって、凄い勢いで顔を上げる。
「一人よりかはマシじゃね？
まぁ、お前が良ければだけど。どうだ？」
正直、家がないっていった男の人を信じろって言われたら信じられない。
でも私を心配して声をかけてくれた彼の目は、とても真剣で偽りなんて感じられなかった。
《_____恐れていても始まらないよA、
人生はゲームなんだ》
懐かしい言葉を思い出した。
.......彼に、賭けてみよう
『...よろしく、お願いします』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 107人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レンコンさらだ - 千早さん» わー！！！ありがとうございます！嬉しいです〜！最近忙しくて更新がもっと遅くなっちゃってて申し訳ないです。精進して参りますのでよろしくお願いします！ (2020年7月31日 0時) (
レス) id: 4187762a0b (このIDを非表示/違反報告)
千早 - めちゃくちゃ面白いです!これからも頑張って下さい！ (2020年7月28日 22時) (レス) id: 1137d622a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レンコンさらだ | 作成日時：2020年6月8日 2時
