54* 面倒くさい ページ6
「総悟〜起きてよ。お昼になっちゃうよ」
7月某日。
蝉が鳴き始めて間もない頃、陽当たりも良く布団を干すには十分な天気の、今日午前10時過ぎ。
ゆさゆさと布団の塊を叩くAは、困り顔をしていた。
「江戸を案内してくれるって……約束したじゃん」
「何でィ…母ちゃん今日は火曜日ですぜ
世間は休みでさァ」
「今日は花の金曜日だっつーの
ていうか何であんたの辞書は火曜休み設定なのよ」
原作でお馴染み腹の立つアイマスクをずらして、彼女の顔を見た途端、
Aの後頭部に腕を伸ばして寝ている自身の方に引き寄せる。
「――、…おはようさん」
「〜〜っ、朝からやめろ!」
寝起きでも格好良いこの男から口付けをされて、途端に耳まで真っ赤になった彼女。
そんな彼女を等閑にして、布団で包まれながらずるずると引きずって部屋を徘徊し出す栗毛。
その姿に思わず後ろから一発入れそうになった。
「……まァそうだな。今日の会議に出るよかお前といる方がマシか」
「ちょっと待って消去法で選ぶのやめてくれない?
ていうか今日会議とか聞いてないんだけど何時から?」
「10時」
「……10分も過ぎてんじゃねーか!!」
聞けば今日はそんなに重要ではない会議らしいが、会議に重要かどうかなんてありゃしない。
一大事があるから会議と言うのだ。
「会議ぐらいすっぽかして大丈夫でさァ」
「すっぽかして良い会議なんてないの!
これで私と遊びに行ったら後で十四郎さんに殺される!」
寝間着姿の栗毛をずるずると引きずって、向かいの、一番大きな床間を開ける。
そこには、神妙な面持ちの隊士たちと、近藤と、鬼の顔した土方。そして彼の隣にはどっさりと盛られた煙草の吸殻。
「……よォ。遅かったじゃねェか総悟。
随分しっかり身支度して、Aと朝から乳繰り合ってたのか」
「十四郎さん誤解を招くからやめて!! 叩き起こしてきたの!」
「何言ってんでィ、さっき俺とデートしようって、」
ごす
「あはは何のことかな〜
さっ、会議始めてください〜失礼します〜…」
口を漏らしそうになった総悟のみぞおちに一発食らわす。
ずるりと倒れ込んだ総悟を指定席まで転がして、誤魔化すようにその場から退出しようとすれば。
「待て、A」
「はい」
「……お前もここにいろ」
「……はい?」
面倒事には、巻き込まれやすい体質だ。
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桃 - うぇ!? なんですかこの作品!…………神じゃないですか!! 作者様神ですか!? この神作品を作ってくださって有難うございます!いつまででも更新待ってます! (2018年10月3日 19時) (レス) id: 6ebd955238 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - 主人公とキャラの駆け引きがとっても自分のタイプです!これからも応援しています! (2018年4月3日 22時) (レス) id: 2e9a8055ee (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - これからも頑張ってください! (2018年2月10日 12時) (レス) id: 5460fa1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
さらんりちぇ(プロフ) - 総悟大好きなので、すごく面白いです!これからも更新がんばってください! (2018年1月31日 20時) (レス) id: f4f18cc943 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田くんオチですか。…沖田くんオチって意外と人気あるんですよねコレが。こんな駄作者な私でも100hitも行けるくらい。沖田くんはやっぱ最高だった。続き待ってます。と言っても最後のセリフは完全に襲う気マンマンだけど。 (2018年1月8日 6時) (レス) id: 2ca11f0d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2017年10月29日 20時