52* 気にくわない ページ4
――誰にも邪魔されないこの空間。
口付けたままうっすらと目を開ければ、そこにはもうとろける顔した彼女がいた。
「―…その顔俺以外に見せんじゃねェですぜ」
「んっ…ふ、…」
こんなギリギリの距離で囁けば、当然吐息はあちらにかかって。
堪らなく感じている色っぽいAが、そこにいた。
熱い吐息が俺にもかかる。…あぁ、それだけでもう。
「んっ…ぅ、ふぁ…」
「何つー声出してんだ全く」
――恋愛経験ゼロだろうこいつとのキスだから手加減してやったが、薄目でそいつの顔を見れば全くもってけしからん顔をしてた。
突然、ずるりと膝から崩れ落ちる。それは簡単に受け止めれたが、随分軽い。
「――…腰抜けるほど、良かったかィ?」
「…っばか、」
「そんな可愛い顔してっと……もっとやりたくなりまさァ」
「もう…勘弁して…!」
俺の腕を掴んで立とうとする真っ赤な顔の女。
軽々と抱き上げることができた。ひっ、とAから声が漏れた。
「やだ、降ろして! 私歩け…、」
「…、気こえねェな」
ジタバタと腕の中で暴れるそいつに深い口付けをしてやれば途端に大人しくなった。
まァ胸の中にいるそいつがどんな顔してるのかは、言わずもがな。
さっさとこのクソ可愛いこいつを食ってやりてェ。
敷いたままの布団にそいつを組み敷けば、何とも怯えた顔をしていた。
(そそられる)
……そうだ。俺はSだった。
「そんな可愛い顔してたら悪い狼に襲われやすぜ」
「いやアンタが今まさに襲おうとしてるでしょうが」
「早く抱いてって? そんな焦りなさんなって」
「お前マジで医者行くべき!!!」
気が狂う程に愛してくれ、と叫んでいる。
Aの首を撫でると、くすぐったいのかじたばたと身をよじらせた。
「捩らせてねえわ暴れてるんだよ恐怖を感じてるんだよ本能で!!!」
「そんな照れなくても俺は逃げねェですぜ」
「ひいいい誰かこの気違いを止めて!!」
Aの肩を押さえつけた時。
スパンと勢いよく俺の部屋の襖が開いた。
振り返れば、そこにはマヨネーズ野郎がいた。
「おい総悟山崎から聞いたぞ……
お前ら何してんだ」
「十四郎さん! 神!!」
「っチ、TPOをわきまえてくだせェ。せっかくいい雰囲気だったってのに」
「何がいい雰囲気だ!!!」
そいつがほっと胸を撫で下ろしたのも、あいつの事を十四郎と呼んでいるのも
……とても気に食わなかった。
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桃 - うぇ!? なんですかこの作品!…………神じゃないですか!! 作者様神ですか!? この神作品を作ってくださって有難うございます!いつまででも更新待ってます! (2018年10月3日 19時) (レス) id: 6ebd955238 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - 主人公とキャラの駆け引きがとっても自分のタイプです!これからも応援しています! (2018年4月3日 22時) (レス) id: 2e9a8055ee (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - これからも頑張ってください! (2018年2月10日 12時) (レス) id: 5460fa1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
さらんりちぇ(プロフ) - 総悟大好きなので、すごく面白いです!これからも更新がんばってください! (2018年1月31日 20時) (レス) id: f4f18cc943 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田くんオチですか。…沖田くんオチって意外と人気あるんですよねコレが。こんな駄作者な私でも100hitも行けるくらい。沖田くんはやっぱ最高だった。続き待ってます。と言っても最後のセリフは完全に襲う気マンマンだけど。 (2018年1月8日 6時) (レス) id: 2ca11f0d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2017年10月29日 20時