気まぐれ少女の怪談物語 (ページ12)

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ラジオ 10 ページ12

教室の外から黒子と火神の声がした。
まさかここ開けるつもりか？今は開けたらマズイ！

貴『バッ！！開けんな！』

しかしすでに時遅し。
火神が扉を開けてしまった。
するとラジオにまとわりついていた、禍々しいオーラが火神を飲み込んだ。

貴『開けんなっつっただろ！んのバカ！』

慌てて火神に手を伸ばしたが、強い何かに弾かれた。
弾かれた手が火傷のように、ヒリヒリと痛い。

黒「火神君！」

貴『近づくな！離れろ！』

私と同じように、血相変えて火神に手を伸ばそうとした黒子を止める。
火神と黒子の間に入り、様子を伺うと禍々しいオーラはスッと火神の身体に溶け込み、取り残された火神はその場で崩れるように倒れた。

貴『…』

すぐに変化はしないようだ。
だが、意識まで乗っ取られたとなれば、春子さんは火神の身体を使って藤木さんのところに行くのだろう。

黒「Aさん…火神君は…」

貴『身体を乗っ取られた可能性がある…。とりあえずソファーに寝かせよう。黒子、誰か呼んできて』

黒「…はい」

黒子は暗い顔で廊下を飛び出した。
その間私は今後のことを考えた。
出来事ってのは常に悪い方向へと進む。
火神の身体を完全に乗っ取り、藤木さんに復讐しに行くって考えた方がよさそうだ。

火【どうして…親友だったのに…】

気を失っているはずなのに火神が呟いた。
声は火神だけど雰囲気は春子さんだ。
やっぱり乗っ取られてる。

貴『私が春子さんの望みを聞いてるってのに、火神に乗っ取る必要ないでしょ』

恨み言のように呟き、今回は久々に本気で仕事に取り掛かることを決めた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊

伊「乗っ取り？」

黒「はい、Aさんが言うには…。まだ悪霊にはなってないはずなので、火神君の身体に悪影響はないそうです。でも…」

日「長時間の乗っ取りは危険…」

黒「…はい」

小「それ火神危ないってことじゃん！どうすんの！？」

相「それを今神楽坂さんが、なんとかしようとしてくれてるんでしょ」

あの後、黒子がバスケ部の人達を呼んできてみんなで火神をソファーに寝かせつけた。

火神無駄に大きいから運ぶの大変そうだった。
それからみんなに簡単に事情を説明し、私は今後のことを考えた。
身体を乗っ取られたわけだし、もう藤木さんをここに呼んだ方が早く解決するけど、あと処理面倒なんだよなぁ。
てか、まだ藤木さんの居場所掴めてない。