３９ 人間とは……？ ページ39
「潤、すまん！」
「へっ？
えっ…と、何が？」
突然、垂直に体を折り頭を下げる翔に潤は驚いた。
「おまえの気持ちを全否定して……
おまえの気持ちはおまえの物で俺が兎や角言う事でもないのに本当に申し訳ない！」
「ああ……でも翔さんが言った事も強ち間違いでもないなって後から俺も思ったよ。
生まれて地上に下ろされたけど誰も何も教えて貰えない状態だっただろ？
智に拾われて色々教えて貰って……色んな体験させて貰った。
最初は本当に親だったんだと思う。
それからあの人に認めて欲しくて一生懸命になって、なり過ぎて……それしか考えられなくなってた。
何千年も生きてる翔さんからしたら俺なんて雛以下だろ？
それが一丁前に何言ってんだって思われても仕方ないよな」
自嘲気味に笑う潤を見て、翔は思い知らされる。
翔に言われた言葉を潤なりに考え言われても仕方ないと反省していた。
自分自身の気持ちを自分自身が否定し切れずに肯定と否定の狭間でどれだけ悩み苦しんだ事か。
……逆だ。
何千年も生きている癖に僅か十数年しか生きていない潤に対して嫉妬から頭ごなしに否定して抑えつけようとした。
大人気ない……のレベルではない。
「潤が謝る必要はない。
それこそ、何千年も生きてる癖に大人気なく…おまえを否定する事ばかり言ってた。
おまえの気持ちはおまえの物なのにな。
俺が兎や角言う事じゃない
すまん、潤」
「翔さん……ありがとう」
「ええっーー！
お、おい、潤！？」
礼を言われた事にも驚いたが、それ以上にはらはらと涙を流す潤に驚いた。
「何か…翔さんに認めて貰えるって嬉しい」
そう言って……綺麗な笑顔を浮かべる潤に翔は余計に居た堪れなくなる。
生まれてまだ十数年しか経っていない潤はこんなにも純粋なのだ……と。
何千年も生きていると生きてる事事態が惰性になっているのか？
何時からこんな風に純粋で綺麗な涙を惜しみなく流さなくなったのだろう。
そして唐突に気付いた。
……面白いな、人間は。
……本当に飽きさせてくれぬ。
冗談粧して言っていた智の言葉を思い出し、翔とて冗談として
……雅紀には敵いませんか？
などと言っていたではないか？
だが智と翔とでは意味合いも中身の深さも違った。
智は本当に感嘆し人間の本質を観察し楽しんでいた。
しかし翔は自分が人間であったが故か…人間とはこんな物だと達観していた。
達観して侮っていた。
こんなにも深いのに……王が心酔する程……
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
