３８ 昔の話と今…… ページ38
「それがどっちに向くかだよ。
俺は…翔さんの言い方で言うなら親かな？
側にいて構って貰えたらそれでいい。
……取り敢えずは。
でも潤くんは違うよね。
心酔、ベタ惚れ、無我夢中、純愛一直線………どれがいい？」
「……そういう類いってことだろ。
何でもいいよ、呼び名なんて」
「でも大野さんがさ、色々教えてくれなきゃ……俺等はその時が来るまで翔さんや相葉さんを何も考えずじっと見てるだけだったと思う。
でも色々教えて貰って人間の中に入って色んな体験をする事ができた。
辛い事も苦しい事も楽しい事、嬉しい事と同じくらい掛け替えのない大切な事だって知る事もできた。
感謝以上の気持ちしかないんだよ？
あの人を愛さない訳ないじゃん。
空っぽの俺達に色んな物を詰め込んでくれた人を…」
何千年も生きて……忘れてしまっていた。
出会った時の衝撃すら………
出会った時……既に生まれて数十年経っていた自分があの人に振り向いて欲しくて、ちまちまと後を付いて回っていた。
気を引こうと持てる魔術を駆使した。
そして……今だ、側にいる。
魔術も何も持たない彼等は翔以上に必死なのだ。
気を引きたくて……
………一緒なのに……あの頃の俺と。
自分には魔術と言う妖魔の王の気を引くスキルを持っていた。
そんなスキルを持たない彼等は想いの丈を真っ正面からぶつけるしかないのだ。
唯ひたすらに。
一生懸命、真摯に想いを届けようとする彼等に……
……………嫉妬した。
数千年にも及ぶ長い時間、妖魔の王の寵愛を一身に受けていた。
それを奪われたくなくて。
だが…今……己は王に対して彼等程、必死に想いを届けているのか？
王の愛の上に胡座を掛いてた……その癖、勝手に焦って……潰そうとしていた。
彼等の大切な想いを……
彼等の想いは彼等の物であって翔の物ではない。
勝手に壊していい物でもない。
「俺……」
「潤くんはさ、必死な訳。
大野さんに与えられた知識を駆使して最高のステージを作る為にね。
それしかあの人に何も返せないから。
今まで以上の物を作り上げたくて。
相葉さんが言った通り、あの人の眠りを覚ませる程のステージを……正に身を削ってでも」
「…………」
違う……羨ましかったんだ。
慣れすぎて……当たり前になり過ぎて……熱くなる事もぶつかる事もしなくなった。
だから一生懸命に真っ直ぐに真摯にぶつかって行けるあいつが……
……自分の事、棚に上げ過ぎ。
……飽きられても文句言えないな。
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
