１９ 堕天使となる者 ページ19
「堕ちれば戻りますか？」
「戻るだろう。
そして晴れて堕天使となる」
「人間ではなく堕天使ですか？」
「天使と言えば堕天使だろ？」
人としての知識は歴史と言う時の流れの中で多くを学んで来た翔ではあるが、目に見える知識を追いがちな所は何千年経とうとも変わらない。
「災いと言う名の悪魔や堕天使は最初は神々が創ったと教えたろ？
その悪魔や堕天使を倒す為に天使を創り倒した後は放置する。
倒す敵がいなくなった頃には何かを倒す事しか天使には意識がない。
では敵とは？
………地上には人間しかいない。
天使は人間を殺し罪を重ねて行く。
結果………新たな堕天使や悪魔が生まれる」
「それって……」
「そうだ……見事な循環だろ？
神は時々、思い出して天使を生み堕とすのみ。
そして神の意に削ぐわぬ行動をしてしまえば即堕天使か悪魔行きだ。
無駄に命を奪ってもだし、今回、記憶を戻し人として生きて行くにしてもだ」
「………天使に同情します。
使命を果たしても天へは戻れず、記憶を戻し命令に背き人として生きても堕天使になるしかない……
雅紀には聞かせられませんね」
「逆に益々、神を憎んでしまうだろうな。
神の思惑通りに……
だが雅紀には……誰かを何かを憎むと言う感情など持って欲しくはない」
智が囁くように洩らした言葉に翔は小さく頷いた。
怒るならまだいい。
だが憎むなんてどろどろとした感情は似合わない。
まして神を憎むなど……
神に大義名分を与えてしまうだけだから。
「あの２人の記憶が戻ったら…今度は天使としての記憶を消すのですね」
「覚えてても仕方ないだろ。
それに……ツンデレな２人だが真面目だからな。
雅紀やおまえの命を狙ったなど許せる訳がない」
「何故そんな面倒な性格にしたんですか？」
「俺がした訳ではない。
天使の元よりの性格だ。
そこは変えられなかったよ。
真面目過ぎる故、神の命令は絶対だし完全遂行し終わらせ目標を見失い堕ちて行く」
「はぁ〜、面倒臭い者を創ってくれる」
溜息と共に大きく肩を落とす翔を見て智は苦笑する。
「翔……肩を作ってやろうか？」
「へっ？」
「無くなっているぞ」
「結構です！
チャームポイントですし、どうしても必要なら自分でできますから！
妖魔の王のお力を借りるまでもございません！
……すっかり人間のバラエティを楽しんでますよね？」
「あれは楽しむ物ではないのか？」
「そうですけども！」
向きになる翔を見て智は声を立てて笑った。
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
