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「智さん、起きて下さい。
時間ですよ」
漸く開いた目が俺を捉えた。
その瞬間、後ろに大きく飛び退いた。
「えっ……と、えっ？」
「俺は松本潤、あなたが雇った家政婦ですが」
「………あ、そうか……」
忘れてたのか？
まだ寝惚けているのか？
きょとんと見開いた瞳がそわそわ動く。
「もう直ぐ仕事の時間だから起こしてくれって頼まれました。
シャワー浴びて来てもらっていいですか？
その間に食事の準備をします」
「あ、うん」
もそもそと俺を見ながら起き上がる。
すっと手が伸ばされ俺の頬に触れようとして手前で止まった。
「傷にならないかな？
冷やしとく？」
さっき殴られた跡を気にしてる？
「大丈夫ですよ」
何故か泣きそうな顔をする智さんに微笑んだ。
この人が気にすることではないのに。
「それより準備しましょう」
「うん、ありがとう」
そう言って微笑んだ。
優しく穏やかな笑み。
なのに瞳はほの暗い闇を感じさせる。
ゆっくりと起き上がった智さんはさっき着ていた白いシャツ１枚だった。
ズボンだけ脱いで眠っていたようだ。
白く細長い足。
脹脛の筋肉が男の足だと教える。
「ごはん、楽しみにしてる」
振り返らずにそう言って部屋を出て行った。
期待に添えるように腕を奮おう。
どうにも真面な食生活を送って来なかった彼のために。
キッチンに立ち、さっき買って来た食材を並べて思案する。
軽くて食べやすくて栄養バランスが取れるもの。
シャワーだから出てくるのが早いとなると……
ごはんを炊く時間はないからレトルト飯をチンして味噌汁と……卵焼き嬉しそうに食べてたな。
和にも手伝ってもらい短いであろうシャワータイムの間に彼の分だけの食事を作る。
流石にシャワータイムの間に仕上げる事はできなかったが相葉さんの言葉を思い出す。
……ドライヤーも頼む。
「和、後頼んでいいか？
俺はドライヤーかけてくる」
「それ、本当にしなきゃなんない？
もういい大人だよ」
「仕事だろ。
頼むよ、和」
そうだよな。
和にドライヤーをかけてたのって小学生低学年までか。
後は自分で頑張ってかてけたよな。
なのに大の大人にするって。
和にしたら理不尽な話だ。
まだまだ甘えたい年だったろうに母親が消えて父親に手放されて。
俺しかいなくて。
その俺が働かないといけなくて。
甘える代わりに色んな事を手伝ってくれるようになって。
助かったけど寂しかっただろう。
なのに文句１つ言わなかった。
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蒼羽(プロフ) - 夏樹さん» ありがとうございます。ちょっと寄り道してましたが、続き始まりました？ので、これから後半に向けて頑張ります。応援ありがとうございます。これからもよろしくお願いします！ (2021年1月24日 22時) (
レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
夏樹 - 楽しみにしながら、小説の続きが読みたいです。 (2021年1月24日 22時) (携帯から) (レス) id: f3c5bb2111 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます。面白いそう言っていただけて嬉しいです。頑張りますので、よろしくお願いします。 (2021年1月17日 11時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 小説面白いです更新待ってます (2021年1月16日 23時) (レス) id: c3d8a6651c (このIDを非表示/違反報告)
蒼羽(プロフ) - 明さん、コメントありがとうございます。毎日２話が限界で申し訳ないです。時々滞りますが……寝落ちして更新しそびれる……なんて事もありますが。できる限り頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2021年1月12日 21時) (レス) id: 878a08305b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年12月29日 16時
