【文スト】方向音痴のマフィアさんは中原幹部にときめいている (ページ12)

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存在意義と任務ページ12

そしてやってきた任務の時間。

任務で私が異能を使う時は、整った環境が用意される。
まず部屋には私、中原先輩、書記係の３人だけしか入らない。

「よし、始めるぞ」

「はい」

私の異能は"探す"ということがあまり得意ではない。
昨日のように「喫茶店ならどこでもいい」というのなら問題は無いのだが、特定の個人や特定の建物を探すのにはかなり手間がかかる。

「○○を見たい」は易いが、「○○がいるところを見たい」は難しい。
手がかりが無い限り、しらみ潰しに見ていくしかないのだ。

つまり、私が普段やるのは指定された場所を覗き見ることなのである。

「××街の◇◇丁目。4階建てのボロいビルだ」

中原先輩が場所を教えてくれるので、私はそこを"見る"。

「……１階、入ってすぐ右手に部屋があります。……応接間のようですが、使われている様子はありません」

「他に何かあるか」

「いえ、１階はそれだけです。２階は……」

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「以上です」

ビルの中を見終わり、異能を解除する。

もう分かっているとは思うが、あのビルは近日襲撃する予定のビルだ。
大した脅威ではないものの、ポートマフィアに害を成す組織の拠点なのである。

「お疲れさん、A」

「いえ、私が任務をこなせるのは中原先輩がいてくださるお陰です。そんな言葉はもったいないですよ」

その通りだった。

今回のようにしっかり見て回ろうと思うと、かなり集中力がいる。
私の集中力が最も高まるのは、「中原先輩のため」に行動する時だ。
だから任務の時には、中原先輩に指示をしてもらうことになっている。

「ンなこと言うな。自分を卑下するの、お前の悪い癖だぞ」

大丈夫です、中原先輩にだけですから！
……なんて言えないけれど。