3話 甘えたい? ページ4
「お前らも耳にしてると思うが、最近江戸は治安が悪い」
毎回喧嘩から始まる会議はイマイチ締まらない。
それでも鬼の副長と呼ばれるだけあって、ふざけられない雰囲気を作り出す。
まぁどちらにせよ怒っている副長を更に煽る奴なんて1人を除けばいないのだが。
「攘夷浪士だけじゃなく窃盗や誘拐などが増加している」
「……」
「国を狙う攘夷浪士に比べちゃぁ大したことはねェが、それらも立派な犯罪だ。俺たち警察が江戸守らにゃならねェ」
「………」
「特別見廻りを強化はしないが一人一人気を引き締めて挑め」
「………ぐぅ……」
私の額に冷や汗が浮かぶ。
副長は更に顔を顰め、こちら側を睨みつけた。
「会議中に堂々と寝る奴があるかァァアア!」
そう怒鳴りつけるも、隣にいる趣味の悪い目玉の描いたアイマスクを付けている隊長様は微動だにしない。
「すみませんすみません!後で私からコイツには説明します。ついでに頭に叩き込んでおくんで…」
「あぁ……悪いな。頼む。
……死なねェ程度にな」
最早副長も呆れ顔……というより諦め顔。
自分上司の不甲斐なさに頭を抱えた。
「部下とはいえ、年上のAちゃんに甘えたいんだろ…」
ボソリとそんな声が後から聞こえた。
傍でチャキ…と刀の音がする。
「ちょっとおおお!!図星だからって会議中に別の隊に喧嘩振らないでよ!!!」
さっきまでアイマスクを付けていたはずの総悟はそれを外し、鞘から抜いた刀を後ろにいた別の隊の副隊長に向かって突きつけていた。
「なにが図星でィ。1ミリも当たってねェよ。自意識過剰か」
「じゃあ何で今こんなことしてんだよ!刀納めろアホ!」
「適当なこと言うコイツを粛清してからな」
本当にやめろと頭をどつく。いて、と小さく漏らし、渋々といった感じで刀を納めた。
その頭を鷲掴みにして会議室から引っ張り出す。
「副長、話は終わりですか?」
「あぁ」
「それでは失礼します」
そう言って一礼をし、部屋を後にした。
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作者名:冬織 | 作成日時:2018年1月27日 18時