15話 拳銃? ページ25
屯所へ戻ると真っ先に副長の部屋へ向かう。
さっき起こった出来事と男の特徴の報告をして財布を返した。
探していたらしく、理由を知って一瞬目尻を吊り上げたが私の監督不行届だとなんとか長時間の説教は免れた。
とりあえず一休みしますかーと伸びをして部屋に向かう。
「そーいや、なんで拳銃なんで持ってたんでィ?」
「あーこれ?」
男を打った拳銃を取り出して総悟の方に向けた。
パンッ
「いてっ」
「っと…危ねェだろィ」
「さっすが!避けると思ったよ!」
いつの間にか総悟の後ろにいたザキに命中。
…あ、殺してないよ?
いててと額を押さえている。その手を退けると直径1cm程円く赤くなっていた。
「本物っぽいでしょ」
「ゴム弾…?」
「せーいかーい!!」
そう、使ったのは拳銃に模したオモチャだ。限りなく似せてあるのでわからないのも無理はない。
「なんかに使えるかな〜って」
思わぬところで役に立ったわとケタケタ笑う。
「おっかねェ」
「バズーカ持ち歩くアンタに言われたかねェわ」
「ところでA、お前の銃の腕はどこで磨いたんでィ?」
「え?磨くってほどじゃないけど……昔からこんなおもちゃ好きだったから遊んでただけだよ」
「ふーん……」
「聞いといてなに?その反応…」
総悟が考えるような素振りを見せる。
そしてついて来いと来た道を戻っていった。
副長の部屋を開けて呼び、隣にある局長の部屋にノックして入る。
今日は
「で、なんの用だ?」
「珍しいな。わざわざ自分でトシまで呼び出すなんて」
「ほんと、急にどうしたの?」
「Aに拳銃を持たせてみませんかィ?」
「「拳銃?」」
全員が声を揃えて聞き返す。総悟の真面目な顔は変わらず、続けた。
「土方さんには報告しやしたが、今日ひったくりに遭いやしてね。手強くてなかなか捕まえれやしねェってんでコイツが出してきたのが本物の拳銃に模したゴム弾の入った銃なんでさァ」
2人は真剣に聞き入っていた。一方私はオモチャを使っただけなのに思わぬ展開にただただ目を丸くしていた。
「正確に一発で撃ち落としやがって…聞けば特別何かしてきた事はないときた。これは才能でさァ。
……どうですかィ?」
そう、2人に問いかけたのだった。
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作者名:冬織 | 作成日時:2018年1月27日 18時