バレンタイン5 ページ21
「入ってもいい……?」
「おう」
控えめなノックと共にAの声が部屋の外からする。そっと襖が開けられて、顔を覗かせた奴に入れと急かす。
後ろ手に何かを持っていて、少し期待した。
俺の前に腰を下ろす。
「さっき聞いたんだけどさ〜今日めっちゃチョコ貰ったってまじ?」
「チョコ?あー…全部そんなものも貰えない寂しい奴らにあげた」
「そっか…」
「なんでィ」
いつになく汐らしい態度に違和感を覚える。
「お前こそ、今年もチロルチョコ配って…今年は誰にもなかったんじゃねぇの?」
「いやぁあれはちょっと遊んでただけで…」
「遊んでた?」
「いつもいつも私に頼るからないように言って、貰えなくて泣いてる所に渡して有難みをわからせようと…あとは泣き顔を見たくて」
「性格クズかよ」
「お前に言われたくない」
やっぱりさ、アンタ顔だけはいいからこーゆー行事には困らないんだ
とトゲのある声音で言う。
「どーした?」
「なにが?」
「いや、なんか、いつもと違ェから」
「別に」
そう言うと立ち上がり帰ろうとした。
ちらりと赤い箱が見えて、反射的にAの腕を掴んだ。
「なに…」
「お前、俺に渡すもんあんだろ」
「そんなんないし……モテモテのあんたには何にもない」
「言ったじゃねェか、全部あげたって。だから俺は実質誰からも貰ってないんでィ。それに…」
お前から貰いたいって言葉は流石に言えない。
「それに?」
「なんでもねェよ。とにかくあるだろ?」
暫く渋っていたが、一向に話そうとしない俺の手を見て諦めたように持っていたものをこちらに差し出した。
「そんなに欲しいなら仕方ないからあげる」
手にはクッキーが入った袋と丁寧にラッピングされた赤い箱があった。
総悟「どっちか選べってかィ?」
「わざわざそんなセコいことするわけないでしょ。どっちもあげる」
ひとつのクッキーは土方さんや山崎とかも貰ってたものと同じものだろう。
でももう一つは見た事のないものだった。
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ご無沙汰しております!
バレンタインどうでしたか?私は病気にかかってしまい何もなしでした……お菓子作りたかった…
ところで、今回の季節物語(シーズンストーリー)何かしらの季節イベント時に出現します!今回は次の話でラストです。引き続きお楽しみください
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作者名:冬織 | 作成日時:2018年1月27日 18時