バレンタイン４ ページ20
結局、土方さんにサボりがバレて屯所まで連れ戻された。
あーあ、また書類と…………向き合えねぇ…
…サー○ァンプかよ。ジャンプ作品じゃねェけど。
「総悟、これ今日中にどうにかしとけ」
「あ？」
そう言って渡されたのは、郵便から直接届けに来たものまで様々なチョコレート菓子だった。
書類も面倒臭いがこれの処理も面倒くせェ。
丁度その時、俺の部隊に所属する神山が通りかかった。
「沖田隊長じゃないですか！どうなさったんですか？！その荷物なんですか？お部屋までお供します！」
「いらない。お供なんて断じていらない」
そんな事より…と話を変える。
「これ、いらねェからお前らで分けろ」
自分が抱えている大量の箱を渡す。毎年の事だから察したのだろう。煩かったが、何とかどこかへ行ってくれた。
「よし、寝るか」
神山を見送り、愛用のアイマスクを取り出した。
−−−−−−−−−−
目を覚ますと、既に日が傾いていた。
時刻は5時30分
夕食…には少し早いが腹も減っている。
食堂へ足を運ぶと何やら騒がしい。
「Aさん！ありがとうございます！」
覗くと、Aがチロルチョコをみんなに配っていた。あれ？今年はないみたいな事言ってなかったっけ……
何であいつらが貰えて俺が……と思わなくもないが、それを言う筋合いは生憎持ち合わせていない。
腹立たしい奴らの顔を尻目に、やたら塩っけの強い夕食をたいらげた。
不貞腐れながら部屋までの通路を歩く。
そんな俺にはなんとも腹立たしい、嬉しそうなザキが前からやってきた。
「おい山崎、何そんなニヤニヤしでんでさァ」
「沖田隊長！隊長も貰ったでしょ。Aちゃんからのバレンタインですよ〜」
「は？」
何あいつ、ザキにも手作りあげてんの？
「ん？隊長？…もしかして…貰ってないんですか？」
「……」
ニヤニヤ顔に拍車がかかる。
「隊長ほど仲が良くても貰えないんですね」
「しね」
「ていうのは冗談で、多分隊長も貰えますよ。Aちゃん、まだまだ手作り持ってましたから」
「……そうか…」
柄にもなく山崎なんかの励ましにホッとした。
再び部屋へ向かっていると、襖の隙間から薄黄色のクッキーを摘む土方の姿が見えた。
「流石Aだな。マヨネーズ味がしっかりついてる」
なんかムカついたからイタズラを仕掛けておいた。
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作者名：冬織 | 作成日時：2018年1月27日 18時
