季節物語 バレンタイン1 ページ17
遅くなりましたがハッピーバレンタイン!
この世界では都合良くバレンタイン当日でございます!
実は今日の為に昨日からお菓子を作ってスタンバってました!
いつもとテンションが違う?気にしない気にしない
なんたって私は今日この日の為に生きてきたのだ。
バレンタインと非番が奇跡的に被ったこの日の為に。
どーせうちの隊士共が今年も貰えず泣くことはわかっている。(中には彼女や奥さんから貰っている人もいるけど)
折角だから泣いてから渡そうとか思っていたりしなくもない。
今日は普通の日だと言わんばかりの平然とした態度で食堂に入る。
いつも通りに定食を受け取り、いつも通りにそれを食していた。
「あ、来たぞ」
ソワソワザワザワ
感じる視線も何それ?オイシイの?のテンションでスルー
痺れを切らした一人が少し大きめの声を出した。
「お、お前ら今年は貰えそうか?」
「俺は自信、ねェなぁ」
「だよなぁ…いつも本当に厚意で貰う一つ以外貰えねぇもんなぁ」
やっぱりこいつら、私があげてる一つしか貰えねぇんだな…可哀想に…
世間でもなぁんか人気のある鬼の副長とかサド皇子とかは大量のチョコが送られてきたり街中で詰め寄られている(ちょっと気に食わない)けど、二人以外はてんでダメ。
…あ、でも前に終兄さんが貰ってるの見たな。
どうでもいいような事を思い出していると、隣にお盆が置かれて人が座った。
そして手をこちらに差し出す。
「なに?」
「なにって決まってンだろィ」
そいつはさも当たり前かのように言った。
周りでは他の隊士達が驚きと…もなんとも言えない形相でこちらをじっと見てくる。
「なんで当たり前のように貰えると思ってんの」
「逆になんで毎年くれてんのに渡そうとしないんだよ」
「お前何もしなくても貰えんじゃん」
「ちぇっ去年の手作りクッキー美味かったから今年も集ろうと思ったのになァ」
「褒めてもなんも出ねぇよ」
ガタリと周りから一斉に音がした。
話の行く末とチョコの可能性を静かに見守っていた隊士たちが皆椅子から立ち上がっている。
「Aさん…沖田隊長……手作りクッキーって何ですか…?」
一番近くにいた一人の隊士が気持ちを押し殺した声でそう言った。
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作者名:冬織 | 作成日時:2018年1月27日 18時