11話 俺は思うvol.1 ページ12
〜銀時side〜
今日も今日とて万事屋の仕事はなく、暇でパチンコやらなんやらと出掛けていた。
腹が減り飯時かと思うと久々にお気に入りを食べたくて探せば、ちょうど目の前には行き慣れたうどん屋があった。
よしここだ。絶対ここでアレ食ってやる。
ルンルンで暖簾をくぐると慣れ親しんだ店員が声を掛けてくれる。
「折角来てくれたんだけど、今いっぱいで」
マジか。心に決めてここに来たから他のところに行く気にもなれないんだけど。
どこか座れないかと言っている間に聞こえてきた声。
「あの人……今お店に入ってきた人。髪の毛真っ白だけど顔は若そうだよね……苦労してんのかな」
ちょっと誰だよ、俺の銀色ヘアーをバカにした奴ァ!文句言ってやる!
向けた視線の先は真選組の隊服に身を包んだ男女二人組。
え、てかあんな男だらけのむさ苦しい所に女の子なんかいたの?
片方は見覚えのある栗色頭だ。
二人にしては広い席。よし、決めた。
「なぁ、あそこの真選組の人が座ってる席に相席させてもらえない?」
快く(?)承諾を得ていつもの、と注文する。
栗色頭もとい沖田くんは何かツボにハマったようで声を堪えて笑っていた。
「ちょっとさっきの言葉、聞こえちゃったんだけどぉ〜…」
自分の髪は白じゃなく銀だと主張する。
返事は素直な感想で、あれ?これ、凄くグサってくる感じ…俺、ヤバくない?と特に理由はなく少々の焦りを感じた。
沖田くんの仲裁も、これは引いた方がいいのかと思わせた。
俺と沖田くんが知り合いと知らず、驚いたようだ。強く興味を示す。
適当な説明にも付いていけてたようで理解出来たのかと尋ねれば、そんなわけあるかとキツく返される。
あ、これは本当にダメなやつ。俺…心折れそう……
それに余計な事を言う沖田くん。……なんとなく察しは付くがここで今俺が言うのはやめておこう。
「一番対副隊長を務めています、荒川Aです」
礼儀正しい挨拶に彼女の上司たちとは違いそれなりの常識はあるのだろうと感じた。
荒川Aちゃんって言うのか…沖田くんの部下…?大変だな。顔は…本当に可愛い。
碌でもない上司がお世話になっているようで
その言葉に大きく頷き、少し誇張した話をAちゃんに教えたのだった。
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作者名:冬織 | 作成日時:2018年1月27日 18時