10話 公務執行妨害 ページ11
「公務執行妨害で逮捕でさァ」
「…………は?」
旦那がこんな反応をするのも無理はない。極めて理不尽な逮捕だ。
だって、私が無理だと言っただけなのだから。
「だって旦那ァうちの部下の気分害したじゃないですかィ。この後の仕事に支障が出たらどうするんでィ」
「いくらなんでも理不尽すぎない?」
「これは大問題ですぜ。Aに体調を崩されようもんなら午後のデスクワーク誰がやるんですかィ?」
「自分でやれよ」
私のツッコミにありえないと言いたげな目が向けられる。
こいつの始末書やらなんやらはかなり溜まっているはずだ。思い出すだけで嫌になる。私にだって仕事はあるのだ。
「俺は成長期だぜ?大きい男になる為に睡眠が必要でィ。Aもその方が嬉しいだろィ?」
「はいはい、アンタはもう充分真っ黒なドSに成長したから安心して起きてて。そんで仕事して。中身の大きい男になってくれたら私は嬉しいよ」
「面白くねェな」
そう言って旦那の腕から手錠を外す。
「やけに素直だね」
「気分」
私たちは立ち上がる。
隣ではまだ甘ったるそうなうどんに食らいついていたが、思いの外長居してしまっていたせいでそろそろ帰らなければ副長にドヤされそうだ。
それにこれ以上近くにいると本当に気分が悪くなりそう。
「それでは、私たちはそろそろお暇しますね。今日は楽しかったです!これからもよろしくお願いしますね」
一礼をして席を離れた。
「こちらこそ〜」
タルそうな声は小豆のお陰か、少し弾んでいる。
まだ喜んでるの?あの人。子供か。
「ここはAの奢りで」
「ここってゆーかいつも私が払ってると思うんだけど?」
「財布忘れてきやした」
ポケットの裏地を見せて持っていないことをアピールする。
どうせ隊服のジャケットの裏ポケットにでも入っているのだろうが、いちいち指摘するのも面倒で、その場は私が払ってしまった。
まぁ言ってしまえば私の方が年上だし。一つだけだけど。…あれ?デジャブ
また暖簾をくぐり、今度は店をあとにした。
「アンタの尻ポケットの膨らみ、ケータイと財布だろ」
「バレたか」
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昨日は更新できずすみません;;
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作者名:冬織 | 作成日時:2018年1月27日 18時