記憶の断片 ページ30
浦田side
Aは薔薇の花弁からしたを一つ器用に切り取り、こちらに近づいてきて俺の目の前に跪くと、スーツの胸ポケットにそれを挿してくれた。
潰れてしまった造花の代わりだろう。
造り物じゃない、生気を纏った
『……はい、出来ました』
う「おぉ、ありがと、……っ！」
それは、たった一瞬のことだった。
Aが俺の方に顔を上げて、目が合った、一瞬の出来事。
Aは、その猫のような瞳を細めて、微笑んだのだった。
ほんのり色づいた唇は微笑を湛えていて、整った顔立ちを更に綺麗に見せている。
ドクン、と脈が不自然に血液を巡回する。
ズキリと頭が痛んだ。
――――――――――
？『はい、このお花、「薔薇」って言うんだって！綺麗でしょ？ここのお家にもいっぱい咲いてるけど、この色の薔薇は咲いてないみたいだから、あなたにあげる！』
――――――――――
そう言って俺にエメラルドグリーンの薔薇を一輪差し出した、幼い少女。
その可愛らしい顔に、ついさっき目にした微笑が浮かぶ。
甘えてくる猫のような瞳が、俺の目の前にいる奴と同じ瞳だと理解するのに、そう時間はかからなかった。
『……様？浦田様？』
突然、意識がはっきりしてきて視界がクリアになった瞬間、俺の顔を下から覗き込んでいたAと目が合った。
う「な、んでもねぇよ」
少し歯切れの悪い返事をしてしまったが、Aはさほど気にならなかったのか、そうですか、と俺から離れてドレスの膝のあたりをはたいた。
伏せられた長い睫毛が綺麗な瞳を覆うように隠していて、それに思わず見惚れる。
『私なんかをわざわざお探しさせてしまって申し訳ありませんでした。では、戻りましょうか』
いつもの
こいつに聞きたいことができたのだった。
う「………なぁ、お前ってさ、俺たちに仕えるよりもっと前、小さい時にさ、俺とここで会わなかったか………？』
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kne(プロフ) - 続き楽しみです。 (2021年9月14日 0時) (
レス) id: ee34aec55d (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - リスさん» リスさんなんですね！私はこたぬですが基本的に箱推しです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ぱるむさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません汗 ありがとうございます！ 今リメイク版を作成している最中なので、もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ランデブーさん» ありがとうございます！そう言ってもらえてとても嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
リス - 私も志麻リスです！ (2021年6月24日 22時) (レス) id: 016461b9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる | 作成日時：2020年7月30日 16時
