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『っ……はぁ、』
ここまで来れば大丈夫だろうと逃げ込んだ先は薔薇園だった。
それにしてもドレスって動きにくいなぁ。
やっぱり私にはパンツスタイルが合ってるのかも。
そんなことを考えながら顔を上げると、屋敷の大きい窓ガラスに月光が反射して、そこに自分の姿が映った。
ドクン、と心臓が不規則に音を立てる。
………考えないようにしてたのに。
本当は、ドレスとか着てみたかったの。
普通の女の子になりたかった。
でも、なれない。
仕方ないことだって、割り切ってたはずなのに。
だから、初めてドレスを着て初めて女の子の私になって、本当はすごく嬉しかったの。
でも、私は執事のAだから。
屋敷にいらっしゃっていたお嬢様たちのような、女の子にはなれない。
女の私を殺して、男として４兄弟に仕える。
……なのに、なんでかな。
ずっと前から決心してたことなのに。
どうしてこんなに泣きそうになっているんだろう。
その時だった。
う「………やっと見つけた」
驚いて振り返ると、肩で上下させて息を切らした浦田様の翡翠の瞳と目が合った。
『……浦田様、』
う「お前さぁ、急に逃げんなよ……もうダンスも始まってるし、ガード役のためにお前を女装させたのに逃げられたら意味ねぇじゃん」
あ、そういえばそうだった。
納得したように相槌を打つと、浦田様はしゃがみこんで溜息をついた。
う「お前いつもしっかりしてんのにどこか抜けてるとこあるよな……」
『……申し訳ございません？』
う「なんで疑問形なんだよ」
しゃがんだまま軽く笑う浦田様を横目に、そろそろ戻らなくてはヤバいのでは、と瞬きして目に溜まっていた涙を散らす。
う「…じゃ、お前も見つけたことだし、戻るぞ」
『はい、……って、あ』
う「どうした？」
『浦田様の胸ポケットに挿してある造花が……』
浦田様が目線を下ろしたそれは、しゃがんだ拍子に潰れてしまったのか、ぺったんこになっていた。
う「あー……どうしよ」
『……少々お待ちください』
私の背後に咲き誇っていた薔薇たちに近づいて、そのうちの一本を人差し指と中指で挟んでから、茎を少し残してぷつっと切り離した。
この薔薇を手入れしてくれている庭師の人とは仲が良いから、今度謝っておけば問題ない。
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kne(プロフ) - 続き楽しみです。 (2021年9月14日 0時) (
レス) id: ee34aec55d (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - リスさん» リスさんなんですね！私はこたぬですが基本的に箱推しです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ぱるむさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません汗 ありがとうございます！ 今リメイク版を作成している最中なので、もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ランデブーさん» ありがとうございます！そう言ってもらえてとても嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
リス - 私も志麻リスです！ (2021年6月24日 22時) (レス) id: 016461b9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる | 作成日時：2020年7月30日 16時
