眠れない夜 ページ13
志麻side
その夜はなかなか寝付けず、ベッドの上で寝がえりを打つこと数時間。
時計の長針は、1時を指していた。
なんやねん、もう……。
溜息をつきながらベッドから起き上がる。
水でも飲みに行こうと自分の部屋を出た。
屋敷の窓から外はカーテンで遮られていて、それがやけに重苦しく感じた。
まぁ、こんな時間帯に自分の部屋から出るなんて初めてだったからそのせいかもしれない。
ふと、カーテンと窓越しに、誰かの気配を感じた。
気配、というか匂いに近い、何故それを感じ取ることができたかというと、俺が人一倍鼻が利くから。
っていうか、こんな夜中に、外に人の気配？
思わず、窓に近づいてそこに耳を押し当てた。
………不審者か？
あるいは、親父か俺らの取引先の相手で、何らかの恨みを持ったやつか。
耳に全神経を集めて集中させる。
『……っ、う、ぅ、ひっ、ぅ』
外から聞こえてきたもの。
それは、今にも消えてしまいそうなほど弱々しい、小さな泣き声だった。
びっくりして、音を立てないようにカーテンと窓を開ける。
身構えながら外に出ると、そこは、屋敷の庭にある薔薇園だった。
そして、その薔薇の植え込みのところに、蹲って肩を小刻みに震わせている小さな背中が見えた。
女か……？
じゃああいつはこの屋敷の使用人？
いや、あんな髪の長いメイド、雇わせてたっけ。
ショートカットなら見覚えあったかもしらへんけど。
と、変な方向に思考を巡らせていると、また嗚咽が聞こえてはっとした。
必死に抑えようとしているかのような、弱々しい嗚咽。
その声の切なさに、胸が締め付けられた気がした。
……って、こんなことしてる場合ちゃうやろ。
と自分に突っ込んで、少し緊張しながら口を開いた。
し「………誰だ？」
すると、その女はびくりと大きく身体を震わせた。
しかし、そのまま固まってしまって、こちらを見ようとしない、そりゃそうだろうなとは思ったけど。
俺は音を立てないように彼女に素早く近づき、その細く白い腕を掴んで、強制的にこちらを向かせた。
その顔を見た瞬間、自分の目が見開いていくのが分かる。
女は俺の手を振りほどこうとしたけど、そこはやっぱり男女の力の差だ。
彼女は抵抗を諦めて、不安げに顔を曇らせた。
………綺麗やな。
彼女の顔を見て、すぐにそう思った。
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kne(プロフ) - 続き楽しみです。 (2021年9月14日 0時) (
レス) id: ee34aec55d (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - リスさん» リスさんなんですね！私はこたぬですが基本的に箱推しです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ぱるむさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません汗 ありがとうございます！ 今リメイク版を作成している最中なので、もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ランデブーさん» ありがとうございます！そう言ってもらえてとても嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
リス - 私も志麻リスです！ (2021年6月24日 22時) (レス) id: 016461b9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる | 作成日時：2020年7月30日 16時
