all for “YOU” 〜君の罪、僕の嘘〜 2 【山】

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コタツに入って二人でお笑い番組を見た。

智くんは意外なことに漫才やコントが好きなようで、さっきから腹を抱えて笑っている。
もう十年も会うことがなかったので、彼の趣味嗜好を新鮮に感じた。


「智くんってお笑い好きなの？」

「うん、好きだよ。
笑ってると嫌なことも忘れられるしね」

「そうか・・・」


彼は高二の時からずっと一人暮らしをしていると言っていた。
そしてその時にはもうすでに心に病を抱えていた。

もしかしたら智くんは、こんなふうに笑うことで不安定な心を紛らわせていたのかもしれない。
そう考えるとチクリと胸が痛んだ。


もし時間が巻き戻されるなら、俺がずっとそばにいてあげるのに。
智くんが苦しい思いをしないですむように・・・。





それから俺は智くんが買って用意してくれていたお節を摘まみながら、少しだけ酒を飲んだ。
昨日の酔いがまだ残っていたので、のんびりペースではあったけれど。



正月の昼間のゆったりした時間。
コタツでほんわか温かくなった体。
ほろ酔いが誘うまどろみ。



「翔くん、眠たくなっちゃった？」

「え・・・？」

ハッと意識を取り戻すと、智くんが俺の顔を覗き込んでいた。

「今、船漕いでたよ？」

「あ、ごめん。ウトウトしてた」

「風邪引くからベッド使って寝てていいよ」

「じゃあ・・・ちょっとだけ・・・」


遠慮なくベッドを借りて横になった。
そしてすぐに瞼を閉じる。


ああ、ふかふかの布団が気持ちいい。
幸せ〜・・・。


今すぐにでも夢の世界へ行ってしまいそうなその時。

部屋の隅でガサゴソ音がしたような気がした。


あれ？
智くん何してんの？


重い瞼を開けて彼に声をかけようとするも、もう眠くて眠くてしょうがない。
なんとか目を半分だけ開けて智くんの後ろ姿を捉えた。

彼はガタガタ震えながら薬を飲んでいる。


どうして震えてんの？
どうして薬飲んでんの？
寒いの？
風邪、引いちゃった？


半覚醒状態の俺は、彼のそんな後ろ姿を見ても口を開くことすら出来ず、そのまま深い眠りに落ちていった。

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