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もともと彼女の耳に開いているピアス穴は、俺が開けたものだった。高校を卒業したての春休みに、Aが俺の家に飛び込んで来たことが始まりである。
ピアッサーを手にした彼女は俺に、「怖くて開けられません!」と泣きついたのだ。
『開けなきゃいいだろ』
『大学生になったら開けるって決めてたんです!!』
だから開けるんだと聞かないAだが、怖くて無理なくせに何を言っているのだろうか。
呆れた俺は彼女からピアッサーを取り上げ、「俺が開けてやるよ」と言う。
しかし「嫌です」とキッパリ断られ、理由を聞けば意地悪されそうだから……と、なんとも可愛らしいことを言われた。
『痛くしねェって言いたいが、もともとこれは痛いからな』
「我慢しろ」と彼女の腕を取り、足の間座らせる。不安気に唇を噛むAの後頭部を引き寄せ、俺の胸に顔をくっつけた。
そのまま抱きしめながらピアッサーを耳に挟む。
挟んだ耳元に「好きだ」と囁いてやると、彼女は俺の方を見上げる。
その隙に開ければ、痛みと照れが混ざり合い、なんとも不思議な顔をしていた。
『……不意打ちは、ずるいですね』
『開けてやったんだから感謝しろ』
ほら、とファーストピアスをつけてやると、もう片方とまたもやピアッサーを渡されてしまう。
今度は何を囁いてくれるのか、むしろ楽しみのようにしているAに呆れ、二回目は何も言わずに開けてやった。
『痛い! 酷いです!』
『うるせェ』
文句を垂れながらもそこにファーストピアスをつけては、どうだと俺に見せびらかす。
「はいはい似合ってる」と軽くあしらうと、頬を膨らませた。
そんな彼女の頭を撫でてやれば、瞬く間に機嫌は直る。素直なのか単純なのか……そこも、俺にとっては好きなところだった。
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美空 - 完結おめでとうございます!とても素敵な作品でした!これからも楽しみにしてます! (2017年8月29日 2時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ジュリさん» 最高ですか!! ありがとうございます! とっても嬉しいです! あんまりイチャコラを書かなかった作品ですが、ジュリさんがそう言ってくださったのなら良いです! 閲覧とコメントありがとうございました (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます! 淡々とした夏休みの小さな暇潰しにでもなってくださったら嬉しいです( ´ ∀`) 新作の沖田は甘々ですが、こちらでは書かなかった甘い沖田を書いているので閲覧よろしくお願いします!! (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - あぁ最高です! (2017年8月18日 13時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 凄く良かったです!夢中で読みました!新作も読ませていただきます!!! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月25日 11時