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『……なにしたの?』
神威の質問を無視し、置いてあった水を一気に飲み干す。喉の渇きは癒えても、まだ身体のどこかは乾いたままだった。
お互い黙り込むも、神威は俺から視線を外さない。
居た堪れない俺は目を合わせようとはしないが、内心その視線が突き刺さっていた。
『……ねえ、要らないの?』
何が、なんて言わなくても分かっている。
そして当たり前に決まっている答えを、何故だか神威は俺に問いた。
「要るに決まってんだろ」と言って仕舞えば、アイツを物のように扱っている気がしてしまい、結局何も言わずにただ神威を睨む。
『要らないなら、俺がもらうから』
迷いの無い真っ直ぐな声。音も立てずに閉まる扉。全て、今起こっていることだ。
思わず耳を塞いでしまいたくなるようなこの事実は、俺自身が引き起こしたのである。
『……要らねーわけねェだろ』
誰もいない部屋で吐き捨てたところで、誰も聞いちゃいない。こうして一人の時はデカイ口叩けても、彼女を目の前にしては、何も言えない口下手な俺だった。
本当は心のどっかで、いつか愛想を尽かされることくらい分かっていただろう。
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美空 - 完結おめでとうございます!とても素敵な作品でした!これからも楽しみにしてます! (2017年8月29日 2時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ジュリさん» 最高ですか!! ありがとうございます! とっても嬉しいです! あんまりイチャコラを書かなかった作品ですが、ジュリさんがそう言ってくださったのなら良いです! 閲覧とコメントありがとうございました (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます! 淡々とした夏休みの小さな暇潰しにでもなってくださったら嬉しいです( ´ ∀`) 新作の沖田は甘々ですが、こちらでは書かなかった甘い沖田を書いているので閲覧よろしくお願いします!! (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - あぁ最高です! (2017年8月18日 13時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 凄く良かったです!夢中で読みました!新作も読ませていただきます!!! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月25日 11時