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『飲み物淹れてくるから』
よろしく、と言って彼女の頭の上にDVDを乗せる。Aは間延びした返事を返し、テレビの下にあるデッキに近寄った。
付き合ってまだ数ヶ月だが、もう既に俺の家の機械を使い慣れている彼女に思わず笑みが零れてしまう。しかし自分らしくないと頭を振り、戸棚を開けていく。
『ん? ……なにか入ってる』
そう言ってリモコンを手に取ったAが視界の隅に映るも、俺ははっと我に帰る。慌ててリモコンを取り上げようとするが、時既に遅し。
彼女は電源を入れ、元から入っていたDVDを再生させた。
『こ、これ……!!』
パクパクと金魚のように口を開けているAは、顔を真っ赤にして俺を見上げる。パニックになっている彼女の目を塞ぎ、リモコンでデッキの電源を切った。
昨夜途中まで見ていたイカガワシイことこの上ないシーンは真っ暗に変わり、そこには忙しなく目を動かしてはそわそわしているAが反射して映っている。
しばらくお互いの間には無言の重たい空気が漂うも、彼女がDVDを見ようと言ってその空気をほぐした。
せっせと準備しているAの背中に、俺は「怒んねーの?」と声をかける。
『どうしてですか?』
『……お前がいんのに、こういうの借りてるから』
そう言っても、キョトンとしては円らな瞳をパチクリと瞬きさせる。まだそこまで俺たちの関係は進展していなく、だからこそ余計に気まずい。
しかしAはクスっと微笑み、俺の正面に向き直った。
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美空 - 完結おめでとうございます!とても素敵な作品でした!これからも楽しみにしてます! (2017年8月29日 2時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ジュリさん» 最高ですか!! ありがとうございます! とっても嬉しいです! あんまりイチャコラを書かなかった作品ですが、ジュリさんがそう言ってくださったのなら良いです! 閲覧とコメントありがとうございました (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます! 淡々とした夏休みの小さな暇潰しにでもなってくださったら嬉しいです( ´ ∀`) 新作の沖田は甘々ですが、こちらでは書かなかった甘い沖田を書いているので閲覧よろしくお願いします!! (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - あぁ最高です! (2017年8月18日 13時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 凄く良かったです!夢中で読みました!新作も読ませていただきます!!! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月25日 11時