兄貴のお気に入りに恋をした【灰谷竜胆】 (ページ6)

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｢ビビったー、
お前アレか？なんかかじってんな？｣

こちらを睨みつけたまま息を整えた女は

｢だったら何｣と涙を溜めた表情で答えた。

(震えてる？てか俺も女襲う趣味とかねぇし)

｢あーなんか気が削がれた。
俺灰谷竜胆｣

｢は？｣

｢お前は誰だよ、名前は？｣

｢…｣

｢いくつ？｣

｢…｣

｢…｣

｢…｣

｢おい、テメェ何か言えやコラ！｣

｢もう関わることないと思うので、もういいですか｣

カッチーン

可愛くねぇーーーーー！！

｢とりあえずさ、家は近いわけ？
その格好で電車とか無理だろ｣

｢…｣

｢別に住所聞いてるわけじゃねーんだから
そんぐれぇ答えろや！｣

｢…服、どっかで適当に買うので大丈夫です｣

そう言いながらまた大きなカバンを抱くようにして
立ち去ろうとする女。

勝手にしろ

追いかける道理はない。

(兄貴に頼まれた炭酸系の飲みもん買ったら俺も帰るか…)
なんて考えたところだった。

女｢あッ…！｣

？？？

女｢すいません…っ｣

男共｢うっわ！こんなところに可愛い子発見～！
やっぱ六本木ってレベル高ェ～！｣

先程の女が数人の男に囲まれている。
トラブルメーカーか、トラブルメーカーなのかあいつは。

男共｢姉ちゃんさ、ちょっとこの辺道案内してくれよ～｣

女｢私もこの辺のことは分からなくて…！｣

男共｢じゃあ一緒に散策しようぜ～、とりあえずあっちのへん付き合えや｣

手を強引に捕まれ引っ張られていく。

んー、何だ、何なんだ。
腑に落ちない、何だこのムカつきは。

あの女がどうなろうとどうでも良いんだがよ。

どうもイラつきやがる。

…あ、わかった。

俺の獲物だったもの(捕獲失敗)を横から取っていこうとするからなんか俺があいつらより劣ってるみたいじゃねーーかよ！！

仮にもあの兄貴を撒いた奴がなんでコイツらにはついてってんだ！

｢おいコラ、カス共｣

女の手を握っていた男の肩を後ろから引っ張り、
振り返ったと同時に1発食らわしといた。

イライラすっから発散させねーとな。

もちろんイライラしてる矛先は

男共と、｢こいつ｣だ。

テメェも例外じゃねーからな！！