検索窓
今日:41 hit、昨日:22 hit、合計:76,889 hit

15 ページ15

バッ、と勢いよく立ち上がる。

(なななな今のは何のお礼だ?!)

自然と口から出てきた言葉に頭が追いつかない。
「すー…」夜空を見上げて息を吸ったあと
足元にいる女を見る。

「…はぁ」溜息に近いものを吐き出すと、女は
「落ち着きました?」
立てった俺に話しかけてくる。

(角度…!)

この女は何もしていない。
のに、オーバーサイズの俺の服を着て、太ももだけ出して、
おまけに上目遣いで話してくる、だけだ!だけ!!



「はぁ、もう大丈夫、」



再びバイクに跨る俺とまだ慣れない様子でバイクに乗る女。
「出るぞ」

ギュ

(ドクンドクン)

自然と腰に手を回してくっついてくる。
さっきもそうやって走ってきたし、なんなら俺がそう促した。

はじめは何も思わなかったのに。
今はこの腰に回す腕の存在感がやけに大きく思えて
背中に感じる温もりと、たぶん頬を背中に当てているこの状況に俺の神経が集中する。


(ドクンドクン)


心臓が早く鳴るのも
それが大きくなるのも気のせいだと思いたい。

じゃないと、
こんだけくっついて耳を背中に当ててるこいつに伝わるのは必然なんだから。










年齢の割にませてる方だと思う。
女の扱いもだいたい分かるし、特定の相手はつくらない。
来るもの拒まず、去るもの追わず。

寂しいとか、人肌恋しいとか、
そういったものは忙しい日常の中で感じたことはない。







いくら考えてもこの感情に答えは見つからないと思う。
それでいい。



「入ったぞ、横浜」

自問自答を繰り返すうちに目的地についた。


「こっからだと家まで遠いか?」

「えっと、あと10分くらい走ったらすぐです
近くにコンビニあるからそこまでお願いしても良いですか?」

「ん」


別れのときが近づいていた。

16→←14



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.6/10 (74 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
176人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

NA - 面白かったです!!!! (2022年12月18日 21時) (レス) @page47 id: 9c547ad202 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:トム | 作成日時:2022年6月19日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。