命を縫い付け、御依頼求む。

似た者同士。壱 ページ25

「鴣文はん！いらっしゃーい」


今日も今日とて仲のいい神様達だ


ここの双子は今、同じことを考えているのだろう
蓮乃は連れてきたのは筆の神、鴣文だ

頻繁にこの家に訪れる鴣文は、もう半場家族のような者になってしまっている
卓の場所へ行き、いつも自分が座っている座布団の上に座る

今日の夕食は焼き魚だった
お茶碗を４つ持って来た遥斗がそれぞれに渡す

炊飯器には白いご飯が湯気を立てていた


ブラウン管のテレビには、音楽番組であろうか、
人の歌う音声が聞こえてくる

そこから手を合わせて箸を運ばせる


「蓮乃！競争するか！」


「ええで！望む所や！」


静かだと思っていたのに…
遥斗は思わずため息をつく

湊は何も気にせず無表情で黙々と箸で焼き魚を割っていく

遥斗は座布団から立ち上がり、台所の方へ姿を消した
この二人のことだ、必ずどちらかが喉に詰まらせるに決まっている

現に今まで、詰まらせない事なんて無かったのだから


２つの湯呑に水を注ぎ、元居た場所に戻る

そして二人の前に黙って置き、食べ始める


数分後、先に詰まらせたのは鴣文だった
そして数秒後、蓮乃が詰まらせる

何処まで仲が良いのだろうか

なんとか夕食を食べ終わった鴣文は、
数十分、蓮乃と談笑して玄関へ向かう


「それじゃあ、また今度。今度は食後に林檎でも出しますね」


「おぉ、よろしくな！」


「それじゃ」


この家から神が帰って行く
薄暗い夜の中、その姿が見えなくなるまで遥斗と湊は
玄関の扉を少し開けて見送った


居間に戻ると、音楽番組から心霊番組に変化している
たまにはこれも良いか、と思ったのか二人共蓮乃を挟んで座る

見終わった後、蓮乃が厠に行く際、遥斗が叩き起こされたのは
また、別の話

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