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喧嘩と偉大さ。壱 ページ5

「いい加減にしてっていつも言ってるじゃん!」

また蓮乃が何かやらかした。

全員が全員、そう空気で察した。

声の主は数の神、円周率(えんまわりりつ)だ。

湊はまた蓮乃が率を弄るようなことをし、怒らせたのだろうと見当がついたが、
遥斗は悶々と一人、考え込んでいた。

喧嘩をしている二人の神妖に目を向けると
蓮乃は自分の犯したことを理解していないのか
またいつもの方言で弄る。

それに率がキレる。

相変わらず、といった雰囲気なのだが
流石にこれはずっと耐えてきた率が可哀想に湊の目には映った。

「と、取敢えず落ち着いてください!」

仲立ちをし、近くにいた隊士に二人を抑えてもらう。

それからなんとか蓮乃を説得させて謝罪させようと
蓮乃の前にしゃがみ込む。

途端にその空間は静寂に包まれる。

その空気に若干緊張しながらも、
湊は蓮乃に対して謝罪するよう話をする。

「蓮乃、何で揉めてるのかは知らないけど、とりあえず円周さんに謝って」

「何でなん?」

ケロっとした顔で首を傾ける蓮乃に、ため息が漏れる。

そんな事はどうでもいいとばかりに、
「わい何か悪い事したん?」

と目で言って来る。

もう蓮乃は仕方がないと思い、今度は率の方を向き直す。

彼ならなぜ怒るのか説明してくれるだろう
と思ったからだ。

しかし、

「分かんない!てか、興味ないし!」

このありさまだ。

湊が頭を悩ませていると、一人が腰を上げた。

今までずっと悩みこんでいた遥斗である。


遥斗は先程の湊と同様に蓮乃に向かってしゃがみ込み、
言葉を紡ぎだした。

「蓮乃、お前本当に心辺りがないのか?」

「うん、そうやで」

「でもな、円周さん、怒っているんだぞ。
蓮乃が嫌な気分にさせたんだ」

「…」

「だから、謝ってくれないか?」

「…分かったわ」

スッと立ち、率に向かって「ごめんな、率はん」と言う。

結構単純なことに湊含め、遥斗以外の隊士全員が驚いただろう。


湊は改めて兄の偉大さを知った。
しかし、


「あ、色相さんじゃないか!」

そう言って頭を撫でるが…

「止めてください!です!」

そう言って怒られる。


先程まで湊が感じていた偉大さは
一気に萎んでいった。

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のゆり(プロフ) - 八重を出して頂きありがとうございます…!(感激) 更新楽しみにしてますねっ!(() (2018年3月12日 21時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
松宮カナメ - うわわわ、使って頂きありがとうございます!率なんて扱いにくいキャラでしょうに…更新頑張ってください! (2018年2月16日 16時) (レス) id: eb873f1f0d (このIDを非表示/違反報告)
のゆり(プロフ) - あ、忘れていました!関連キーワードに「神様の依頼箱」と記入お願いします! (2018年2月6日 22時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)
のゆり(プロフ) - 早速書いていただきありがとうございます!面白そうです…!募集企画の方に貼らせていただきます! (2018年2月6日 21時) (レス) id: b3b81574c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朝猫。 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月5日 17時

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