【テニスの王子様】君が君であること。２＝遠山金太郎＝ (ページ3)

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弐・三ページ3

あれから一年と少しが経った。

　

「あ、A先輩。」

向こうから近付いてくる細目の男の子は不二君。

青春学園高等部の２年で私の後輩。

専攻している科目が一緒のため、よくこうやって話している。

「どうしたんですか？」

「ちょっと探していたんですよ。

お話があります、いいですか？」

「ここで話してもらえませんか？

移動、しなくてはならないので。」

「あ、引き止めちゃってすいません。

・・・こういうものがあるんですけれど、行きませんか？」

不二君はそう言って、一枚のチラシを私に見せた。

「テニス・・・合宿？」

「はい。

僕のかつての部活仲間やライバルたちが集まってくる合宿なんですよ。

もちろん、テニス部だった人じゃなくても参加は可能らしいですから誘ってみたんですけど・・・」

「テニス・・・ですか・・・」

金太郎さんが、大好きだったテニス。

金太郎さんはこれに来るのかな・・・？

だとしたら、私は行けない・・・

まだ、会えない・・・

「・・・先輩、安心してください。

これには関東地方の元テニス部員、現テニス部員しか集まってきません。

・・・県外で会いたくない人がいてもこれには絶対に来ませんから。」

まるで、私の心を見透かしたような口ぶりで不二君は続ける。

「僕、先輩にたくさんの交流を持ってほしいんですよ。

先輩は優しい人だから、誰かを敵に回したときに辛い思いをしてほしくないんです。

そんなときに一緒にいてくれる味方を作ってほしいんです。」

懇願するような目で私を見つめる不二君は、私のことをすべて見透かしているような雰囲気を持っていた。

「・・・分かりました。

お誘いありがとうございます。

この場所に、この日時に行けばいいんですね？」

チラシに描かれている地図と日付を指差しながらそう言うと、不二君はまるで花が咲いたような笑みで明るく笑った。

「はい。

ぜひ来てください。」

「そろそろ移動しますね。

それでは。」

「はい、また後ほど。」

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

　

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