第76話 ページ27
〈side 花京院〉
『…私の考え、聞いてもらえますか。』
その他人行儀な言葉にうなずいた。
わかっていたことだが、あんなことをしでかしたからには、彼女は緊張している。そのせいで言葉遣いは丁寧なものになっていた。
いつもなら、もっとくだけた印象なのに。
花京院「ええ。幸い、朝早いから時間もある。ちゃんと聞きますから、ゆっくりで構いません。」
『……ありがとうございます。』
深呼吸をしてから、彼女は胸に手を当てる。
…僕だって相当緊張してるさ。
さっきから心臓がドキドキ鳴りっぱなしだし、握りしめた拳はブルブル震えている。
そして、ついに覚悟を決めたらしき悠さんが話し始めた。
『…さっき言った通り、私……典明さんのことは好きですけど、別に異性として意識してるわけじゃないです。
だから、典明さんとそういう関係になるっていうのは考えられない……です。』
…お、思いの外グサッとくるな……。
そんなこと言ったら、僕だって他に恋愛経験なんてない。スタンド使いでない相手とは分かり合えないと思っていたし、そういったことには興味が無かった。
だから、僕の「初めて」は全部悠さんなんだ。
花京院「そ、そうですか。あなたの気持ちはわかりました。それじゃあ！」
喉の奥が苦くなってきたので、さっさと彼女の前から逃げ出そうとした。
もちろん、僕らは勤める課が違うから、僕は僕の研究室に逃げ込むつもりだったんだ。
『………〜っ、あの！』
花京院「は、はい？」
逃げ出すつもりが呼び止められてしまい、足を止めざるを得なくなる。昨日と立場が反対だ。
開いた距離を埋めるように彼女はこちらに近づいてきて、僕の目の前までやって来た。
キッと僕を見据えながら、ボソボソとしゃべり出す。
『…典明さんが私を…その、抱きしめた……のは、私のことをそういう風に思ってくれてたからですか？』
花京院「えっ⁉あ…はい、まあ……。」
わかっていたなら、どうしてわざわざ？
彼女はもはや湯気が立ち上りそうなくらい真っ赤になっている。
そして、うつむきながら言葉を続けた。
『…じゃあ……それを…う、嬉しく…思うのは……
もしかして、す…好き、ってやつ…なんですか…。』
……。
…………。
…………なんだって？
『ややややっぱり何でもないです！き、今日はお昼は誘ってくれなくて結構なので！！失礼します！』
放心している僕の前で、彼女は素早く逃げ出してしまったのだった。
…今のは…どういうことだ……？
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キョウべえ(プロフ) - ピーカンパイさん» うるさくなんかないですよーっ、いつも嬉しいです！原作の花京院への罪悪感と共に書きました。すまない……。いつもありがとうございます！ (2020年8月13日 5時) (
レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - 姉御さんさん» いつもありがとうございます！嬉しいこと言ってくれちゃって〜！です！暗チ…もっと登場させたいです…。ギアッチョの出番なんて無理矢理ねじ込みました笑 (2020年8月13日 5時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - ゆゆさん» いつもありがとうございます！どうか幼い時の彼にも幸せに生きていてほしいという欲望の賜物であります……！ (2020年8月13日 5時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - Toyさん» いつもありがとうございます！暗チは…本当に素晴らしいですよね……！梅雨明けで毎日暑いですけど、お互いに生き延びましょう…。 (2020年8月13日 5時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
ピーカンパイ(プロフ) - 今現在私は絶滅危惧種になりそうです(?) (2020年8月11日 1時) (レス) id: e408f95724 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キョウべえ | 作成日時：2020年8月8日 6時
