第65話 ページ16
〈side 悠〉
イタリアから帰国し、やって来た典明さんを追い返した翌朝。
お昼頃にやっと起き出してきた私は、話があるという形兆くんに捕まっていた。
『話って何かな？』
形兆「…まずは支度を終わらせてくれ。俺の話はそのあとでいい。」
あれ、にごされてしまった。なかなか言い出しにくい話なんだろうか？
そういえば、以前「杜王町に引っ越す」という話が出ていた。それは、元々あの町に住んでいた虹村兄弟くん達のためなのだ。
それに関係する話かもしれないな。
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〈side 形兆〉
『…えぇーっ、この家を出て行く⁉』
形兆「ああ。杜王町の家に戻るつもりだ。」
昼飯を食べながら俺の話を聞いていたあの人は、心底驚いたように叫んでいた。
口にものを入れながらだったからか、慌てて恥ずかしそうに両手で口元を押さえている。
『そ、そりゃ、ここは過ごしやすい環境じゃないだろうし、元々住んでいた家にも思い入れがあるんだろうけど…。
いくらなんでも、中学生と小学生を二人きりに出来ないよ！危ない人だっているんだよ⁉』
ろくに噛みもしないで食べ物をゴクンと飲み込んでから、あの人はアワアワして俺を諭そうとしていた。
…話を聞いていなかったようだから、もう一度説明する。
形兆「今すぐじゃない。せめて億泰が義務教育の期間を終えるまでは、アンタに世話を見てほしいと思ってる。
最低でもあと5年はこの家に居たい。……ダメか？」
あの人はパァッと表情を明るくすると、ブンブンと首を横に振った。
無関係の他人の世話を焼くことがそんなに楽しいのか知らないが、明らかに嬉しそうだ。
『形兆くんはしっかりしてるね、まだ中学一年生なのに。そっかあ、出て行っちゃうのか……。』
…好きでこうなったんじゃない。
しっかりせざるを得なかっただけだ。じゃなけりゃ、生きていくことができなかった。
『にしても、億泰くんが中学を卒業するまでか…。
その時には、二人とも私の背なんてとっくに越してるんだろうな。』
未来のことはわからない。
俺がその時、どんなことを思って〈弓と矢〉を所持しているのか。
〈弓と矢〉の能力を試すことによって、周囲はどう変わってくるのか。
そして、親父を殺すことはできているのか。
『5年なんてあっという間なんだろうな。
あっ、私その時には26じゃん！うわぁ、独り身のままアラサーになるぅ……。』
……この人、いまいち緊張感がねえな。
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キョウべえ(プロフ) - ピーカンパイさん» うるさくなんかないですよーっ、いつも嬉しいです！原作の花京院への罪悪感と共に書きました。すまない……。いつもありがとうございます！ (2020年8月13日 5時) (
レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - 姉御さんさん» いつもありがとうございます！嬉しいこと言ってくれちゃって〜！です！暗チ…もっと登場させたいです…。ギアッチョの出番なんて無理矢理ねじ込みました笑 (2020年8月13日 5時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - ゆゆさん» いつもありがとうございます！どうか幼い時の彼にも幸せに生きていてほしいという欲望の賜物であります……！ (2020年8月13日 5時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - Toyさん» いつもありがとうございます！暗チは…本当に素晴らしいですよね……！梅雨明けで毎日暑いですけど、お互いに生き延びましょう…。 (2020年8月13日 5時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
ピーカンパイ(プロフ) - 今現在私は絶滅危惧種になりそうです(?) (2020年8月11日 1時) (レス) id: e408f95724 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キョウべえ | 作成日時：2020年8月8日 6時
