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それから俺は地面に置いていた鞄を持ち上げる。ずっしりとした重みを感じ少し顔をしかめた。
そして空を見上げると彼女の言う通りさっきまで綺麗だった夕日がもう沈み終わりそうだった。


ヒュウと冷たい風が俺達の間を吹き抜ける。唇を噛み締め、寒さを堪える。そうか、今は冬だった。
冬で日が短いのもあって俺の放課後は呆気なく終わった。でも無駄な時間を過ごした、とは不思議な事に思わなかった。むしろ、充実していたと思う。


俺は見てるだけだったが、二人して絵と真剣に向き合って最後にはあっと驚くキレイな夕日。部活以外でこんなに充実したのは久々だった。


”楽しい時間はすぐに終わる”前にばあちゃんが口癖のように言っていた。その時は時間の流れなんて皆同じやんか。と思っていたが、こういう事か。
...本当に楽しい時間はすぐに終わる。


ヒュウゥとさっきよりも大きな音を立てて風が頬を掠める。そこでようやく気づく、目の前を見るとさっきの絵も、白崎Aもいなくなっていた。
ぼーっとしている俺は放っておいて帰ったのであろう。


ただのクラスメイト。わざわざぼーっとしている俺に声をかけたり、ましてや一緒に帰ることなんてするはずもないのだから。





そうして冷たい風の中を歩く。もう辺りはさっきの夕日を消し去るかのように真っ暗になりかけていた。
暗い中、校舎を振り返ると、文化部の電気が見える。吹奏楽部に合唱部、文芸部。もう、片付けを始めているようだ。


闇に立っているような閑散で虚無な校庭を見渡しても部活終わりの生徒達がぞろぞろと歩いてくる。もうそんな時間か。
ポケットからスマホを取り出し電源をつける。ロック画面に表示された4つの数字。


18:00


どうりで暗いわけだ。さっきまで夕日が出ていたとは思えない。じゃあ俺はどのくらいの間ぼーっとしていたのだろう。明らかにその時間だけは無駄な時間だったな、と後悔しながら暗い、黒い道を歩いた。





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舞音(プロフ) - 倉光零さん» ステキだなんて私には勿体ない言葉です...!コメントありがとうございます!! (2018年12月6日 7時) (レス) id: d62cb59b0c (このIDを非表示/違反報告)
倉光零(プロフ) - 北さん小説大好き〜!ステキな小説でした! (2018年12月6日 7時) (レス) id: 039357648f (このIDを非表示/違反報告)
舞音(プロフ) - たかなさん» 胸キュンしてくれたのは嬉しすぎる...!潤いになれたのなら幸いです!こちらこそ読んでくれてありがとう! (2018年12月1日 23時) (レス) id: d62cb59b0c (このIDを非表示/違反報告)
たかな(プロフ) - 胸キュンした!ここ最近胸キュンが足りなかったものだから、潤いに潤っちゃったよ笑。ありがとう!素敵でした! (2018年12月1日 23時) (レス) id: 3132b958de (このIDを非表示/違反報告)
舞音(プロフ) - 柴乃さん» わ、わ、ほんとですか!ありがとうございます!北さんいいですよね〜! (2018年12月1日 23時) (レス) id: d62cb59b0c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞音 | 作者ホームページ:http://なし  
作成日時:2018年12月1日 20時

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