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Aは善逸の死にかかった顔を横目に、静かに呟いた。
「そっか……三者面談……」
どことなく心配そうに言ったAの呟きに、炭治郎はめざとく反応する。
「もしかしてAも三者面談心配だったりするのか?」
「いやー……。まあ心配といえば心配かな」
Aは引きつったように口角を上げて苦笑いをする。
「何せ担任が担任だから」
炭治郎は不思議そうにその首を傾げた。
「担任……? Aのクラスの担任って……——」
「冨岡先生……」
善逸はその名前を耳に入れた瞬間、その表情をぐしゃりと醜く歪ませた。
「今だけはAちゃんと同じクラスじゃなくて心底良かったと思うよ……。いや、まあ本当は同じクラスが良かったんだけども……」
そう言いながら、かつて理不尽な暴力を受けた自分の左頬を労わるように撫でる。
「善逸は冨岡先生のこと苦手だもんね」
「苦手っていうか、あの人めちゃくちゃ俺に当たりがつよ――」
――キーンコーン……
善逸の言葉を遮るようにして、学校中にチャイムの音が鳴り響く。
「もしかしてチャイムにまで嫌われてるの俺⁉」
善逸は不満気にキーキーと喚いた。
たかがチャイムのタイミングが善逸の話すタイミングと重なってしまっただけかもしれない。だが今の彼は三者面談を控えるせいで少々ヒステリック気味になってしまっているようだ。
Aはそんな善逸を見て軽く笑いながら席を立ち上がった。
「さてと……私はもう教室戻るね。あっ、伊之助のことちゃんと起こしてあげて。じゃあまたね、炭治郎」
「ああ、わかった。またな」
ひらひらと手を振るAに、炭治郎も同じように手を振り返して彼女を見送った。
「Aちゃん俺にもばいばいって言って! 頼むよ! それで俺午後の授業頑張れるから!」
「ふふっ。善逸、ばいばい」
「はーい!! ばいばーい!!!」
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作者名:さぬやぎ | 作成日時:2020年4月13日 13時