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取り敢えず、ソファへ腰をかけゆっくりお茶でも飲む事に。
帰って寝たいという気持ちは抑えつつ欠伸を噛み殺した。
そしてさっきから何。そらるさん、こんなキャラじゃないって言っているのに…。
『そらるさん、何で頭撫でたりしてるんですか』
「何か可愛いから」
これがそらるマジックだろうか。ただ単にそらるさんが変わっただけでしょうこれ。
そしていちいちまふ君も苛々していて意味が分からない。時折私の裾を引っ張ってそらるさん側に行かせないようにしてるし。
「どうする?まふにお帰り願ってもう一発する?」
『ちょっといー加減に…っ』
堪忍袋の緒も切れる…と言う所で口元を塞ぎ聞こえるか聞こえないかの声で耳元に唇を寄せ「作戦だから」と呟いた。
作戦だか何だか知らないけどこれは無いんじゃない!?振り回し過ぎ!
「そらるさん、」
少し嫌な予感。
低めの声に睨み付ける様な目。お、怒ってる……?
「何ー…あー眠い」
ふぁ、っと大きな欠伸をするとまふ君に移って彼も大きな欠伸を。この流れに少し可愛いと思ったり。
咳払いをし誤魔化すまふ君は、また切り替えて「そらるさん、」と名前を呼んだ。
「ちょっと…先輩と二人っきりで話がしたいです。二人っきりで」
最後の方を強調してそらるさんにお願いをした。
いや、いやいやいや…私と二人…。無理だよ、何考えてるのまふ君。「ごめん、私が嫌だ」なんて言えないしどうすれば良いの。
「あー、分かった。その間ちょっと寝て良い?」
いや駄目!待って待って、寝室へ移動しないで
せめてここにいて…!
彼は立ち上がってリビングを出ていく。引き止めようとした所で後ろから手首を掴まれた。肩がビクリと跳ね上がりゆっくりと後を向く。
「先輩…本当にしたんですか…そらるさんと…」
今にも泣きそうな顔で私を見つめる姿は何とも可愛らしい。男の人に言う言葉じゃ無いけれど。
…って、そんな事考えていても意味が無い。早く誤解を解かなければ…。
『ううん、違うの…そらるさんさんがふざけて言っただけ』
そう言うと何故かほっ、としている目の前の彼。どうしてほっとしてくれるの?
私の中で暖かくてこそばゆい感情が渦巻いた。
『えーーと…それで、話したい事があるんだよね…?』
私は誤魔化す様に自分の言葉で掻き消した。
まふ君の表情が一瞬固くなった様に思えたが、敢えてそこは聞かず彼の話に耳を傾けた。
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作者名:花 x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/ryou/
作成日時:2018年2月2日 22時