第120話 揺れる心―後編― ページ40
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「正直、お前に何度も時間軸を弄られてきたことは、今でも腹が立ってるし、そのせいで疲弊してきたのも確かだ。……でも、お前にそうさせちまったのは、オイラたちだ。ソウルを持たない体にして、お前を苦しめたのは、オイラたち研究員の過ちだ。……許してくれと言うつもりはない。ただ、お前にこれ以上苦しい思いはさせたくないんだ」
フラウィは暫く言葉を失った。動揺しながら彼は後ずさる。
「……何それ。意味が分からないんだけど。どういう風の吹き回しなワケ?……同情のつもりならやめろよ、気持ち悪い!!」
「お前がオイラにそう思うのは仕方ないと思ってる。何を言われようが、受け止めるさ。……でもな。お前を助けたいと思っているのは、オイラだけじゃないんだ」
「そうだぞ、お花さん!」
「ッ!」
フラウィが振り返った先には、追いついたパピルスとメタトンが立っていた。パピルスは、先程彼に締め付けられてまだ痛む腕を抑えながらも、フラウィに懸命に語り掛ける。
「オレさまは、お花さんに笑顔になって欲しい!お花さんは、オレさまの大事な友達だ!だから、寂しそうな顔はもう見たくないのだ……!」
「な、何だよ、お前……まさか、さっきの言葉を本気にしてるの?あんなの、嘘に決まって……」
「勿論だ!オレさまたちは、絶対に仲良しになれるッ!」
心からそう信じ、笑顔を向けるパピルスにフラウィはたじろいだ。もう聞きたくないと顔を強く振り、彼は叫ぶ。
「ッやめろ!黙れ!ボクはお前たちのことなんかどうでもいい!ボクにとって意味のある存在は、あいつとAしかいないんだ――!」
Aの名が出され、サンズが怪訝な表情を浮かべたのも束の間、フラウィは逃げるように地面に潜り込んだ。
「なっ……待て!」
姿も気配も一気に分からなくなり、サンズが険しい顔をした次の瞬間――
「――行かせるか!」
突如、地響きと共に地面が砕け、土塊と共にフラウィが浮かび上がる。
驚くサンズたちが視線を向けた先にいたのは、カードを右手に持ち、鋭い瞳でフラウィを見据えるデイビッドであった。彼の背後から、アンダインとフリスクも追いつき、フリスクがサンズたちに向けてグッドサインを送った。
「サンズ!ここは私たちが食い止める!Aたちのこと、頼むぞ!」
サンズは暫く呆気にとられていたが、頼もしい彼らの笑顔に背を押され、力強く頷きすぐに指を鳴らしたのだった――
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かしわ(プロフ) - ラヴさん» ラヴ様 長期間お待たせしてしまったにも関わらず、暖かいお言葉で迎えて下さり、大変恐縮です……! このような私をご心配頂いて、本当にありがとうございます! これからこつこつと更新頑張って参ります! (2022年6月5日 11時) (レス) id: c5e96d2eaa (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - もちりのさん» もちりの様、初めまして。長い間お待たせしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。大好きだなんて言って頂けて、激励のお言葉まで……とても嬉しいです。ありがとうございます!こつこつと更新していければと思います! (2022年6月5日 11時) (レス) id: c5e96d2eaa (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - レーニャンさん» レーニャン様 会話になってしまうかもと思い、返信を避けてしまいましたが、やはり返信させてください。 本当にお待たせしてしまい申し訳ございませんでした。激励のお言葉痛み入ります、ありがとうございます!これからこつこつと更新できればと思います……! (2022年6月5日 11時) (レス) @page45 id: c5e96d2eaa (このIDを非表示/違反報告)
ラヴ(プロフ) - お帰りなさい!クラムチャウダー改めラヴでございます。停まっていて、とても心配しておりました…お戻りになられてとても嬉しいです!ご無理のないようお気をつけ下さい。応援しております( ¨̮ ) (2022年6月5日 0時) (レス) id: 906f0fe218 (このIDを非表示/違反報告)
もちりの(プロフ) - 初コメ失礼します。この作品見る専だった時から大好きで…無理はしないでくださいね!更新頑張ってください! (2022年6月4日 6時) (レス) id: 8fca6226df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かしわ | 作成日時:2021年8月23日 7時