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96.しゅわっと ページ46

雄也.



「この後の仕事なかったら飲みながらでどうぞ〜!」

雄「え、まじでいいの?」

『やばっ、背徳感ある〜』

雄「ほんとにね(笑)」




少し大人っぽい雰囲気の撮影中なんだけど、スタッフさんは、若干正装っぽくスタイリングされた俺たちにグラスを手渡す。

ワインレッドのワンピースを着たAは、シャンパンの入ったグラスに口をつけると「飲みやす〜!」なんて分かりやすくはしゃぐ。結構お酒好きなところは大人なんだけど、笑顔とか仕草は子供っぽくて可愛いよなあ。




雄「Aが好きそうな味だね」

『うん、好き』

雄「……危ね、今ドキッとした」

『え?!』




お酒のおかげか、はたまたそういうメイクなのか。ほんのり色づいた頬は色っぽいし、グロスが塗られた唇はぷるぷるなわけで。男の好きな要素しかないな……俺より背の低いAは、多少高さのあるヒールを履いたって上目遣いで。

やば、俺結構酔ってる?空気に酔わされてんのかな、




雄「……あれ、Aめっちゃ顔赤いけど大丈夫?」

『んん〜……?何がぁ、?』

雄「いや酔ってんじゃん!そんなに弱くなかったでしょ、何でだろ」

『酔ってないってば、』




白くて華奢な肩まで、少しずつ赤みを帯びてきた。何度も一緒に飲んでるけど、ここまで酔ってるのってあんまり見たことないな……ていうかまず一杯目だよ?!これ度数高かったりする?

スタッフさんに確認すると、「低めなんですけどね……」とふわふわ状態のAを見て顔を顰めた。




「結構撮影も進んだし……後はチェックしてから声かけるので、雄也くんとAちゃんには休んでてもらおうかな?」

雄「オッケー、少し休ませてくるね」

『……なぁに、ゆうや、』

雄「カメラチェックだって。楽屋戻るよ?」

『うーん……』




Aの腕を掴んで、ゆっくりと引っ張る。

……あれ、こいつこんなに細かったっけ?羨ましいほどに、食べる量と体型が比例しない人だと思ってたけど。手首なんて、もっとちゃんと握っていないとすっぽ抜けてしまいそうだな。このままどこかに行ってしまうんじゃないか、なぜかそう不安になって、ほんの少し力を込めた。

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作者名:流星 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月5日 1時

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