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貴方.
伊「うお、完成してる」
裕「も〜……可愛い!似合う!俺選んだんだよ、靴!」
雄「うん、俺らも選んだよ(笑)」
個人カットも終盤に差し掛かってきた頃、皆が一斉にスタジオに入ってきた。流石にもう何年もやってるから、見られて恥ずかしいなんてことはないけど……一人一人に選んでもらったものを着ていると考えると、ちょっと照れくさいな。
……丈の短いワンピースを着ている私を見て、「あれ選んだの伊野尾?」と顔を顰めた宏太には笑ってしまった。
伊「だって〜。綺麗な脚、見せとかなきゃもったいないだろ?」
涼「うわ、そこまで気付かなかった……短い……でも可愛い!」
知「まあ似合ってたらいいでしょ。可愛いし」
大「俺のティアラも可愛いだろ?」
光「あいつは何付けても可愛いんだよ」
薮「とか言って、さっきからネイルばっか見てるくせに(笑)」
思い思いの感想を述べる皆を眺めながらも撮影に集中していると、あっという間に全カットの撮影が終わった。
スタッフさんの拍手と「おめでとう!」の言葉に頭を下げていると、何やら大きな花束を抱えたメンバーたちがやって来る。驚きながらもそっと覗き込むと、そこに咲いていたのは数え切れないほどの白い薔薇で。
『え……めちゃくちゃ綺麗!』
薮「だろ?薔薇なんて中々もらわないだろうし……花言葉にもちゃんと意味あるからさ、」
伊「それはまぁ、後で調べてもらって……受け取ってよ、A」
『ええ、もちろん……ありがとう!』
宏太から花束を受け取ると、薔薇特有の甘い匂いが私を包み込む。「お誕生日おめでとう」とまるで小さな子供のように、若干バラバラの声でそう伝えられて、笑みが溢れた。
もう何もかも辞めてしまおうか、そんなことを思った日もあるけど……ただ優しく、大切に受け止めてくれる皆と一緒にいたら、辛かったことも全て消えていくようで。こんなにも愛おしい仲間たちと出会えたことを、何よりも誇りに思う。……今はただ、それだけ。
『……ありがとう、皆。これからもずっとよろしくね!』
立派な大人として、これからもできる限り、皆の隣にいさせてね。
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