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大貴.
大「……おう、全然。寧ろ頼ってくれて嬉しかった」
『そっか……ありがとう。来てくれたのが大貴で良かった』
……あー!何?何なんだこいつ!全部無自覚でそういうこと言ってる?だとしたら煽りの天才だな。勝てる気がしない。ていうか山田じゃあるまいし、何なんだよ。俺!
悶々としてしまう俺をよそに、「リハーサルは?」と随分切り替えが早いA。
大「あー……システムの確認も兼ねて、暫く休憩だって。電話とかないし、多分まだ大丈夫だと思うけど」
『休憩か……早く戻らないと、皆に変に思われちゃうよね』
大「……大丈夫だろ、多分。俺がついてるの皆知ってるし」
『そう……?なら良いけど』
何となく帰したくなくて……とか、そんなの言えるわけないけど。さっきまで過呼吸を起こして泣いていたんだから、すぐに戻ったらまた危ないだろうし。同じく長い付き合いなんだから、多少はスルーしてくれると思う。見て見ぬふり、ってやつ。
『心配してくれてるなら有難いけど、私ちゃんとやるからね。皆のためにも、ファンのためにも、スタッフさんのためにも』
大「……それは分かってるし、止めないよ。でも本当に危なくなったら引きずってでも裏連れてくからな」
『もちろんです。ありがと、』
気丈に振る舞うAが、何だかとてつもなくいじらしく見えて。こういうところだよなあ。普段強くてしっかりしている分、たまに見せる弱いところとか、涙とか……居合わせたのが俺じゃなくても、皆やられてたと思う。
何というか、かわいいやつめ。
大「……」
『大貴?どうしたの、大丈夫?』
大「っうわ、ちょ、」
……完全に気を抜いていた。
そんなときに服の裾を引っ張られては、きっと大の男でもバランスを崩してしまうだろう……言い訳って言わないでほしい。
やべ、トイレで転ぶのは流石にまずいな。Aの背後の壁に手を伸ばして、バランスを取って……それから、
『え……だいき、?』
それから?
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