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63.かわいいやつめ ページ13

大貴.



『……ありがと、落ち着いた』

大「そっか、……良かった」




ほんの少し嗚咽を漏らしながら、それでも「大丈夫だから」と笑った。長年の付き合いだけど、あんな風に泣くAは初めて見たから、俺の対応は本当に合っていたのかと不安になる。

……てか、普通に抱き締めちゃったし。可哀想だとか心配とか、色んな気持ちでぐちゃぐちゃだったとは言え!俺、やらかした?!うわ、今更顔熱くなってきたな……




『……大貴?』

大「あ、や……ごめん。俺今変な顔してるから、もうちょっとこのままで、」

『変な顔……?何で?』

大「とんでもないことしたな〜って……今更……」




自分でも分かるくらいに、どんどん小さくなる声。背中に添えていた手は、Aに触れないようにと宙に浮かせた。やり場がなくなって、余計不自然だ……より恥ずかしい状況な気がする。

Aも少し経ってから俺の言葉を理解したのか、「あ……」と消え入りそうな声で呟いた。




『……待って、私、え、めちゃくちゃ普通に抱きついてた、』

大「何だよお前、無自覚?!」

『無自覚というか、頼れるのが大貴しかいなかったから……!抱き締められたら抱き締め返すでしょ!普通!!』

大「嫌なら突き飛ばせよ!」

『嫌じゃないから受け入れたんでしょ?!』




俺から離れたAと目が合う。お互い顔を真っ赤にして、変な顔でなぜかキレてて……何だこの状況。混乱状態とは言え、Aも中々とんでもない発言したな……




『……そうじゃなくて、ごめん。二人きりとは言っても、こんなにベタベタするのは良くなかったかも』

大「いや……俺も、慌てちゃってごめんな。嫌とかそんなのないし、」

『ううん……私も、大貴じゃなきゃ受け入れてないよ』

大「……」




どういうことだよ、それはそれで。

「ありがとう」と俺を見上げるA。身長は5センチも変わらないのに、何だかいつもより上目遣いに感じた。まだ涙目で、うるっとした瞳に見つめられたら……ダメだ!


可愛いな、そう思ってしまう。

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作者名:流星 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月5日 1時

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