愛しきキャラメリゼ【野坂悠馬】☆リク ページ11
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彼女と初めて喋ったのは、とある日の昼休みのことだった。
彼女_______如月 Aは律儀に数学の勉強をしていて、難しい顔をして問題とにらめっこしていた。
「...四角錐と三角錐に、分けて考えればいいんじゃない?」
あまりにも真剣に悩んでいる横顔に、思わず言葉が口をついていた。
彼女は顔を上げて、驚いたように僕を見た。問題に目を戻して、何やら解き始める。
しばらくして、シャーペンを動かす手が止まって、また僕を見上げた。どうやら、答えが出たらしい。
「...助かったわ、ありがとう。でも私は自分の力で解きたいから。次から邪魔しないで」
よくよく考えれば、それは明らかに拒絶を示す冷たい声だったのだけれど。
面白い子だな。
その時の僕は、そんな風に思った。
やめろと言われて僕が素直に頷く訳もなく。
僕は隙あらば、何度も彼女にちょっかい(?)を出した。
最初はあからさまに迷惑そうにしていたが、僕が懲りないのを見てとると、彼女は諦めて、逆に僕に分からない問題を尋ねるようになった。
そして、そこから少しずつ、僕と彼女の仲は深まっていった。
*
ある日の部活中、僕はグラウンドの隅にAちゃんがいるのを見つけた。
驚いて思わず二度見したが、間違いなくそれは彼女の姿だった。
「Aちゃーん」
名前を呼んで駆け寄ると、彼女は笑ってしまうくらいあたふたして慌てた。
「僕のこと見に来てくれたの?」
「ちっ違うわよ!たまたま、通りかかっただけ!」
「なんだ、残念。まあ、ゆっくり見ていってよ」
じゃあね、と手を振りながら踵を返そうとすると、Aちゃんがあの、と小さな声で僕を呼び止めて、言った。
「...私、サッカー部のこと、お、応援してるから。が、頑張ってね!」
「え」
「じゃ、じゃあ私、急ぐから!」
そう言ってすぐ立ち去ってしまったが、僕はありのままの彼女の気持ちを嬉しく思った。
次の日から、彼女は毎日練習を見に来るようになった。
他にも僕目当てで練習を見に来ていた子は大勢いたから、気づかれないとでも思ったんだろうけど、バレバレだった。
明らかに彼女は、僕を見ていた。
そして僕もまた、そんなたくさんの女の子の中からすぐに見つけることができるほど、彼女のことを意識するようになっていたのだ。
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チェレステ(プロフ) - 杳覇さん» 私も杳覇さんが大好きです〜〜〜!!(号泣)鬱陶しいなんてとんでもないです!これからも気が向いたら気軽にコメントしちゃってください!続編の方でもどうぞよろしくお願いします!(*´∀`*) (2020年5月16日 18時) (レス) id: 2dc5e30747 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 豪炎寺くんが最初っから最後までカッコ良すぎる大好きですこのお話!!!ひえええ次回最終回!?ううっ…楽しみに待ってます(´;ω;`) 短期間で三度目のコメントすみません…!!鬱陶しくなったらいくらでも無視して下さって構いませんので!!チェレステさん大好きd(( (2020年5月14日 20時) (レス) id: 14ae3b839b (このIDを非表示/違反報告)
チェレステ(プロフ) - 杳覇さん» あああ二度もコメントをしてくださりありがとうございます!!とても励みになります(号泣)貴方様のような素敵な読者に楽しでもらえるような執筆を目指してこれからも頑張ります!!どうぞよろしくお願いします!!! (2020年5月14日 11時) (レス) id: 2dc5e30747 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - ああああ豪炎寺くんすでに最高っ…!!すみません感情が昂ってしまい思わずコメントしてしまいました……!!続きが凄く楽しみです!!ずっと応援しています!! (2020年5月12日 22時) (レス) id: 14ae3b839b (このIDを非表示/違反報告)
チェレステ(プロフ) - 杳覇さん» まだ見てくださっている方がいらっしゃったとは…!!!感謝感激です!!ありがとうございます更新頑張ります!!! (2020年5月9日 10時) (レス) id: 2dc5e30747 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チェレステ | 作成日時:2018年6月11日 21時