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9ばんめ ページ10

「一郎くん」


病院について、数十分経った頃。

寂雷先生に呼ばれて、顔を上げ、立ち上がる。


「寂雷先生、あいつは、」

「安心しなさい。今は眠っているよ」

「よかった……」


Aが無事だということを知って、安心すると全身の力が抜けていき、そのまま椅子に座る。

本当にどうなるかと思った…。

今日出会ったばかりの子どもなのに、もう自分の兄弟かのような感情がある。

不思議だ……こんなにも、俺が守ってやらなきゃなんねぇって思うのは…


「それにしても一郎くん、あの女の子は一体…」

「…依頼で、うちで育てることになったんすよ」

「それは……大丈夫なのかい?お金もかかるだろうし、様々な面で大変なことがあるだろう」

「……」


寂雷先生の言う通りだ。

金銭面に関しては問題はない。報酬は多いくらいに毎月振り込んでくれるみたいだ。

でもこれから……Aが成長していくにつれて、どんなことがあるか正直分からない。予想もつかない。


「でも、あいつを、……Aをほっておくなんて、できませんから」

「…ふむ。何かあったらまた私のところに来るといい。私にできることなら、全力で手を貸そう」


自分の意志をしっかり告げると、先生はそう言ってくれた。

先生にお礼を言うと、Aのいるところへ案内してくれるという。

病室の扉を開け、入ろうとすると、すすり泣く声が微かに聞こえる。


「ひっく……ふぇ…ぐすっ…」

「Aっ?どうした?」

「っ!にぃちゃあ……ッ」


急いでAのとこへいくと、目を真っ赤にして泣いているAがいた。

Aが小さいからか、病院のベッドがやたら大きく見える。

俺の姿を見たAは、またぽろぽろと涙を流してにぃちゃ、と言った。

すると、俺のパーカーを握りしめて泣き出す。


「大丈夫か?もう平気か?」

「やぁぁ…っ、にぃちゃ、いかにゃいでぇ…」


ぐすぐすと小さい子どもとは思えないくらいに静かに泣くA。

パーカーを握りしめている手は少し震えていた。

どうやら、俺がそばにいなかったのがいけなかったらしく、不安にさせていたみたいだった。


―――――――――――――

きりが悪いですが一旦切ります。

たくさんのお気に入り、評価ありがとうございます!

これからもぐだぐだしてしまうと思いますが、お付き合いしていただけると嬉しいです。

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(プロフ) - ヒプマイ沼ハマさん» 特に深い設定はつけてません。ただ、虐待を受けている影響を表せたらいいなと思いそういう喋り方にしています。 (2019年9月23日 0時) (レス) id: 3d81b48405 (このIDを非表示/違反報告)
ヒプマイ沼ハマ - うちの知り合いの子は四歳でもハキハキ喋りますけど、これはどういう設定で? (2019年9月22日 23時) (レス) id: cd1a846ab2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 南さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。更新遅めですがお付き合いしていただけると嬉しいです! (2019年6月26日 22時) (レス) id: 3d81b48405 (このIDを非表示/違反報告)
- 夢主ちゃんがめっちゃ可愛いっすめっちゃ可愛いっす(大事なんで二回) 今から続編を読むので続編はどんな感じなのかなとワクワクしてます! これからも頑張ってください!! 長文失礼しました。 (2019年6月25日 21時) (レス) id: d0756aba1a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 夢花 (仮垢)さん» そう言ってもらえてめちゃくちゃうれしいです…!ありがとうございます!!ちゃんとラストは幸せにするつもりですw (2019年1月17日 21時) (レス) id: d886c652ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年9月8日 9時

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