子守要請 ページ47
・
神威の事は気になるものの、その事ばかりに気を取られている訳にもいかない。
事実、今も近藤さんや土方さんに呼ばれている。こんな腑抜けた気持ちでは行っていい筈がない。
「…卯月です。失礼します」
「おお、来てくれたか!」
にしても、今は主だった攘夷志士に動きは無いし、はっきり言って暇な状態のはず。急な呼び出しなんて、心当たりが無い。
何の話だろうかと襖を開ければ、いつも通りにこやかな近藤さんと無表情の土方さん。……だけではなく。
「…このおばさんが僕の面倒見てくれるの?ちょっと頼りないよ」
そのお二人の向かいに、5、6歳くらいの、少年が座っていた。…ひどく、つまらなさそうな顔で。
けれど、私はその表情よりも物言いの方が気になってしまい。
「なっ……た、頼りないとは失礼な…!私だって真選組の一員です。頼りなくなんか…」
「オイA、子供相手にムキになってんじゃねェ。話が出来ねェだろうが」
大人げなく弁解しようとしたところで、土方さんに窘められた。少し恥ずかしくなり、「す、すみません」と、腰を落着ける。
それを見ていた近藤さんは少し申し訳なさそうに微笑した。
「驚かせて悪かった!この子はとっつぁんの同期のお孫さんらしくてな。その同期が暫く宇宙に仕事だってんで、世話を任されたんだが……」
「生憎、男所帯の此処にそんな能力のある奴はいねェ」
「……つまり、ウチで預かれという事でしょうか…?」
「ーーそういう事だ」
この言い方から察するに、元は松平公が預かる予定だったのだろうが、こっちに丸投げされたのであろう。
警察の幹部レベルの親族が来るにしては、随分と急な話過ぎる。
随分と育ちが良さそうで、少し言葉を交わしただけで分かる見下し方。子供特有のものかもしれないが、出来れば願い下げたいところではあるけれど。
「…分かりました、責任を持って任務遂行させて頂きます」
「ああ、頼んだ」
直々の要請に、そんな事も出来る訳が無い。
冷めた目でこちらを見つめるその子に、私は引き攣った笑みを浮かべた。
1324人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
頑張ってください - ああああああああ久々に読んだら進んでてまた神威熱が… (2020年1月6日 1時) (レス) id: ac6d87c707 (このIDを非表示/違反報告)
自己満者 - 京篇凄い良くて、泣いちゃいました(笑)更新頑張って下さい! (2019年8月17日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - むくさん» コメントありがとうございます。時間をかけて丁寧に書いたシーンなのでそう言っていただけるととても光栄です!これからもよろしくお願い致します。 (2019年5月26日 23時) (レス) id: 765bdcb728 (このIDを非表示/違反報告)
むく(プロフ) - 求婚シーンめっちゃ好きです〜!! (2019年5月25日 23時) (レス) id: 3bb4d6b7d5 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 匿名さん» 初めまして!そう言っていただけてとても嬉しいです。神威くんのイケメン台詞は割と心の声の方が潜んでいたりします笑これからもよろしくお願いします!コメントありがとうございました! (2019年4月29日 20時) (レス) id: d60993068d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2019年1月8日 17時