天才的な上昇 ページ46
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サイド無し
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「……なァんか、上手くいってるのかな」
「何がだよ、団長」
どうせまた関係ない事なのだろう、と予想しながらも阿伏兎は上司の言葉に耳を傾ける。
「…ほら、アレだよ。『押して駄目なら引いてみろ』ってやつ」
「ああ、あれか…」
ーーやっぱり、と阿伏兎はため息を吐きたくなったが、更に機嫌を損ねるだけなのでそれは心の中だけに押し留め。
珍しく書類と向き合うピンク頭を見る。
「(最近団長と話す事といや、殆ど嬢ちゃんの事だな)」
戦闘や強敵以外で神威が何かに執着するのを見るのは、阿伏兎は初めてだった。…いや、恐らく阿伏兎だけでは無い。
誰も、神威がこうなるとは予想だにしなかっただろう。
何となく、感傷に浸ってしまいそうになった阿伏兎は気を紛らわす為にも、上司の憂いを聞いてやる事にした。
「団長、どうしてそう思うんだよ?ただ、いつもより素っ気なくするだけのプランだろ」
「それが難しいんだよ。知ってると思うけど、俺は考えるより先に行動に移してしまうからね。抑えようとしても、『あのさ、○○なんだけど…』って気が付いたら話し掛けてるし」
「…なら、その後はどうすんだ?」
「そりゃ、仕方ないから『やっぱり何でもない』って切り上げるしかないよ」
「………」
神威の話を聞いて阿伏兎は思った。
「(団長、天才的にプラン成功の確率上げてやがる……女を誑す才能もあったとはなァ…ちっとは分けて欲しいモンだ)」
「何また黙りこくってんのさ。どうせ何か考えてるんだろ?教えてよ」
神威は自然に、素でやっている事だが、普通『あのさ』と話しかけられて『やっぱり何でもない』等と言われてみれば、余計に気になるものだ。
何故言うのを止めてしまったのか、自分には話せない事なのか…等と、色々。
そして、相手は少し前まで非常に複雑な関係だったAの事だ。ほぼ確実にその沼に嵌っているだろう。
そこまでを瞬時に想像した阿伏兎は、なんと言うものか迷った。
「(事実言やァ良いんだろうが…素でやってんならなァ……ま、適度に慰める程度でいいか)」
しかしまあ、今回も最後まで説く事はせず、自然の流れに任せることにした、第七師団副団長だった。
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頑張ってください - ああああああああ久々に読んだら進んでてまた神威熱が… (2020年1月6日 1時) (レス) id: ac6d87c707 (このIDを非表示/違反報告)
自己満者 - 京篇凄い良くて、泣いちゃいました(笑)更新頑張って下さい! (2019年8月17日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - むくさん» コメントありがとうございます。時間をかけて丁寧に書いたシーンなのでそう言っていただけるととても光栄です!これからもよろしくお願い致します。 (2019年5月26日 23時) (レス) id: 765bdcb728 (このIDを非表示/違反報告)
むく(プロフ) - 求婚シーンめっちゃ好きです〜!! (2019年5月25日 23時) (レス) id: 3bb4d6b7d5 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 匿名さん» 初めまして!そう言っていただけてとても嬉しいです。神威くんのイケメン台詞は割と心の声の方が潜んでいたりします笑これからもよろしくお願いします!コメントありがとうございました! (2019年4月29日 20時) (レス) id: d60993068d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2019年1月8日 17時