【銀魂】せーりゃくけっこん°

パンドラの箱 ページ19

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｢(…静かだな)｣





神威が出て行って暫くして、思う。商店街のくじ引きで当たったにしては、部屋はやけに広く、豪華で…だからこそ今この瞬間が酷く寂しい。

でもそれは多分、物理的に一人だというよりも、心の奥にぽっかり穴が空いたみたいなそんな気持ちのせい。


やるべき事もなく、手持ち無沙汰だった。私は昨日仲居さんたちにしてもらったレベルには無理だけれど、髪を結い上げてみた。

少しでも、昨日の楽しかった余韻に浸りたいのだ。なんて女々しいことか。







｢(……神威は悪くないのは、分かってるけど)｣







だって彼奴はハナから私をただの契約結婚相手だと割り切っていて、私がそれに勝手に期待しただけ。


だけど、そういう事情を抜きにしても十割私が悪い。家族の話は恐らく神威にとってはタブーだったのだ。開けてはならないパンドラの箱。
その中身を、私は軽率に知ろうとしてしまったから。







｢……私、ちゃんと謝らないと｣







は、と息をついた時、部屋の襖は静かに開かれた。

此処に入ってくる者なんて、たった一人しか存在しない。







｢…神威。おかえりなさい｣

｢……ただいま｣







とてもじゃ無いけど、いつもみたいに笑って接する事なんて出来なくて、一度はしっかりと合った視線を、なるべく自然に逸らしてしまう。

神威も、様子は私と似たようなものだったけれど、そこには散歩に出ていく前とは違う、何かが感じられるーーように見えた。

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