Episode.63 ページ27
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帰宅部で、野球部とは御幸くん倉持くんくらいしか接点のない私が?
第一、青道の野球部にはマネージャーがいるって聞いたし。
「ヒャハッ、マネージャーは?とか思ってんだろ?」
「う…」
私は顔に出やすいのだろうか。白河くんもそうだけど、すぐに思ってることを見透かされる。
…成宮くんに当てられたことは一度もなかったけど。ーーそんなの関係なかった。
「四人いんだけどな、一人が季節外れの風邪でダウン、一人が法事被っててアウト。で、二人じゃちょっと色々キツイわけ」と、説明する御幸くんに続いて
「相手の高校はマネージャーいないらしいしな」と倉持くんが補足する。
…つまり、人数はいるけどいろんな都合で足りないわけか。
いやけど、それでもなんで私?
「んでさ、こっからが鈴木にお願いしてる意味になるんだけど。うちの野球部って人気が凄いんだよな」
「自分で言うな腹黒」
「仕方ねーだろ」
人気が凄い。それは転校して来たばかりの私でも分かる。
野球部の人たちが廊下を通れば声援や名前のコール。稲実とはまた違う、凄い盛り上がり様だった。
ーーそこまで考えて、私に頼んで来た理由が何と無くわかった気がした。
「ま、要は普通の女子じゃマネの仕事に集中してくれねーだろうなっつーことだ」
倉持くんがとても簡単に、そして私の今考えていた通りのことを言ってくれる。
私の関心のあるものは料理と、今は…少しだけ成宮くん。野球部の人たちの声援に熱心になることはない。
「…そういうことなら、やるよ」
「サンキューな!ヒャハッ、御幸、早速報告行くぞ」
「おう」
二人はタッと去っていった。
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2017年6月3日 20時