第二話〜迷い込む〜 ページ4
少女は三成をじっと見つめたままだ。
三成は警戒しつつ少女に問う。
「貴様は、霊なのか。」
すると、少女はまた儚い微笑みを見せ、首を横にふる。
「いいえ。私は霊ではありません。人間です。…そして今貴方の目の前に広がっているのは幻影でも幻想などでも御座いません。」
「では、貴様がここに私を呼んだのか。」
三成は少し怒気を含んだ声色でそう問うた。
「…私は貴方を呼んでおりません。貴方の心がこの空間の鍵を開けたのです。」
「では、一体此処は何だ。何故、何もないこのような場所に居るのだ。」
「…此処は私が創った空間です。そして私はこの空間に暮らしております。」
三成は今までの話が現実的に有り得ないと思い、また問う。
「貴様は一体、何者だ。」
「私はただの人間です。…少し不思議な力が使えるだけなのです。…さあ、貴方を元の世界に帰して差し上げます。戦の最中なのですよね?どうか、秀吉様の為に力を尽くしてください。石田三成様。」
そう言って少女は三成に近づき、目を閉じて何やら呪文のようなものを唱え始めた。
「ッ…まっ、待て!何故、秀吉様や私の名を知っているのだ!」
三成がこう叫んだ時、三成の体の周りが白い光に包まれた。
光の隙間から少女の姿が見えた。三成を見上げていた少女は最後に、「また、いらしてくださいね。」と言い、微笑んだ。
三成が気が付くと、周りは元いた風景に戻っていた。
三成はすぐさま戦場に駆け付け、敵を倒していった。
その戦は勝ち戦だった。
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作者名:±カワセミ | 作成日時:2014年8月21日 18時