生まれてきてくれてありがとう【一十木音也】

理由 ページ6

ASide



「後輩ちゃーん！ここどんな風に表現したらいいかな？？」


「……あんまり暗くなりすぎず…明るすぎずに歌えますか？」


「りょーかいっ！」


今、先輩達とシャイニング事務所が所持している長野県の別荘に来ている。
新曲を作って、練習する為に。


新曲発表ライブがあるから、その練習をしなくてはいけない。


……今日は、音也の誕生日なのに。
毎年、一緒に祝ってきたのに。


初めて……一緒に祝えない。


「A。元気ないでしょ？」


「え？」


「いつもよりテンションが低い」


……藍ちゃんは、勘が鋭いからな。

確かに、テンションは低い。
でも…しょうがないからさ……


「今日……音也の誕生日なんですよね…」


「え？今日だった？」


「はい」


先輩達は、ずっと携帯とか見ずに生活してたから…
今日が4月11日だという事に気づいていなかったらしい。


「おめでとうって言ったのか？」


「圏外なので繋がらなくて……」


せめて、直接じゃなくても祝いたいのに。


………ごめんね…音也。

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