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第七話 __マギの務め__ ページ9

"ウーゴくんに見せてもらった巻物で見たことがある"

彼は、確かにそう言った。

その"ウーゴくん"と言う人物が何者か分からないが、要するに私に関する書物を読んだことがあるという事か。

「そうなのかい?あいにくだが、ボクはただのしがない旅人だよ。書物とかに触れる機会なんてないさ」

「ソレだよ。お姉さんは、"しがない旅人"って言うよね?書物には、"死がない旅人"。そう記してあったよ!」

「...。」

ボクは思わず口を紡ぐ
死がない旅人、それはまさにボクの通り名だ。

死がないから、永遠に生きる。
老いもしないし、死にもしない。

そんな存在がボクだ。

非情な世界線に、1人だけ置いていかれた
それがボクだ。

「お姉さんは、不老不死と言うやつなのかい?」

確信を持った、と言う瞳で目の前の男の子はボクの眼をつらぬく様に見つめてくる。

「...。ふふっ..あはっ、あははっ」

ボクは堪らずお腹を抱えて笑いだした、

「?」

アラジンくんがキョトンとした表情をしている。

「君は、ボクがその書物に書かれた人物だったとして、どうしたいんだい?ボクの事を知ってるからって何ができるんだい?w」

「それは...」

ボクの問いにアラジンくんは言葉を詰まらせる。

「その答えは否。君には何も出来ない、だって、君はちっぽけなマギだから」

深く息を吸って、小さくはき出す。

ただの吐き出された空気は、炎に変わり、雪に変わり、アラジンくんの首元にかかった笛にまとわりついた。

「ちっぽけでも、僕には僕のやり方があると思うんだ!だから、お願い。僕と一緒に旅をして欲しい」

小さなマギは、小さな手をボクに差し出した。

その景色は、どこか懐かしく、哀しい

そんな物だった


ーーーーーーー

「僕らは、マグノシュタットに行くことにしたよ」

ーーーーーーー

ボクは、死がない旅人

それがこの先障害となるなんて、ボクは思ってもいなかった。

第八話 __嬉々として__→←第六話 __月夜の晩に__



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紅桜夢 - とっても面白かったです。 (2021年11月12日 8時) (レス) id: 20dd92ba69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2020年10月2日 19時

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